研究課題/領域番号 |
24689007
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝禎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90372838)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ヒストン脱アセチル化酵素 / アイソフォーム / クリックケミストリー / アジド / アルキン / トリアゾール / 阻害薬 |
研究概要 |
ヒストン脱アセチル化酵素HDACには18種類のアイソフォームが知られているが、それぞれの詳細な機能は未だ明らかにされていない。最近の研究により、HDAC3が結腸癌細胞の増殖、炎症及び神経変性疾患に関与することが明らかにされた。そのため、HDAC3選択的阻害薬は、抗癌剤、抗炎症剤や神経変性疾患治療薬として期待されている。そこで、本年度はIn situクリックケミストリーの手法を用いてHDAC3選択的阻害薬の創製を目指した。 HDAC阻害薬は、HDACの酵素活性中心に存在する亜鉛イオンに配位することでHDACを阻害すると考えられている。一般にHDAC阻害薬は、酵素活性中心の亜鉛イオンに配位するZinc-Binding Group (ZBG) とHDACの酵素表面のアミノ酸残基と相互作用するCap部位、ZBGとCapをつなぐLinker部位から構成される。本研究では、Cap部位とZBGをクリックケミストリーにより連結するために、対応するアジド、アルキンユニットの分子設計を行った。アルキンユニットとして、HDAC3の酵素活性中心の亜鉛イオンに配位するo-アミノアニリド誘導体とヒドロキサム酸誘導体を設計した。また、アジドユニットとして、HDAC3の酵素表面のアミノ酸残基と相互作用することを期待した疎水性の高い脂肪族および芳香族環を導入した誘導体を設計した。アルキン体9個とアジド体56個を用いたin situクリックケミストリースクリーニングを行った結果、これまでのHDAC阻害薬に比べ高いHDAC3阻害活性、選択性を示すトリアゾール化合物T247, T326を見出した。これらの阻害薬は癌細胞増殖抑制評価やHIV遺伝子再活性化評価においても効果を示した。 以上の結果から、アイソザイム選択的HDAC阻害薬探索におけるクリックケミストリーの有用性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度および平成25年度の研究で、クリックケミストリーを用いた手法により、予定していた以上のスピードでHDAC8選択的阻害薬、HDAC3選択的阻害薬を見出すことが出来た。本研究成果については、論文でも発表した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24、25年度における研究成果を基に、平成26年度では、他の酵素を標的としたin situクリックケミストリー研究を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、物品費等の支出はほぼ予定通りであり、学術研究助成基金助成金を3万円だけ平成26年度に繰り越した。 本助成金は、平成26年度に、物品費として使用する予定である。
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