アンキリンGは自身がパルミトイル化され神経細胞や心筋細胞において種々のイオンチャネルを特定の場所に局在化させ膜の電気的興奮基盤を構築している。本研究では、アンキリンG自身のパルミトイル化を受ける領域の結晶構造を酸化・還元の二状態で解析し、膜接着の分子動力学計算を行った。その結果、パルミトイル化は膜への接着を安定化することを明らかにした。パルミトイル化されていない状態や酸化状態のアンキリンGも膜近傍に漂うが、安定な接着面を形成しての膜結合は観察されなかった。これらの結果は膜近傍でアンキリンGは準備しており、パルミトイル化されると、固い構造基盤に基づいた膜の電気的興奮基盤を形成することを意味する。
|