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2012 年度 実績報告書

水分/塩分に対する欲求制御の脳内機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24689013
研究種目

若手研究(A)

研究機関基礎生物学研究所

研究代表者

檜山 武史  基礎生物学研究所, 統合神経生物学研究部門, 助教 (90360338)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード体液 / 脳神経 / イオンチャネル / エンドセリン
研究概要

体液のナトリウム(Na^+)濃度は常に脳で監視されており、水分や塩分の摂取及び排出の制御を通じて135~145mMに厳密に維持されている。我々は、脳において体液中のNa^+濃度上昇を検出するセンサーがNa。チャンネルであることを提唱してきた。Na_xが真に脳のNa^+濃度センサーであるとすれば生理的範囲のNa^+濃度変化を感知できるはずであるが、Na.は体外(in vitro)ではNa^+濃度が約150mMを超えて初めて活性化するという特性を示した。本研究において、我々は、この残されていた疑問を解決することに成功した。Na_xの活性化閾値は、体内では血圧調節ホルモンの1つエンドセリン-3(ET-3)によって調節されており、生理的範囲のNa^+濃度の上昇に応答できることが判った。Na_xの活性化閾値は、脱水状態に応じてET-3の発現調節されることも判った。従来から血中Na^+濃度と血圧との間には強い繋がりがあるとされてきたが、今回の発見は今後その仕組みを明らかにする端緒になると期待される。
また、Na_xを細胞膜において安定化する新しい機構を見出した。Na_xのカルボキシル(C)末端の配列が、PSD-95/Disc-1arge/ZO-1(PDZ)結合モチーフに合致すると推定されたことから、Na_xのC末端領域に結合するPDZタンパク質の同定を試みた。PDZアレイを用いてスクリーニングしたところ、synapse-associated protein 97(SAP97)を含む複数の分子がNa_xに対する結合分子候補として同定された。その中でSAP97はSFOにおいてNa_xと共発現し、Na_xの細胞膜上での安定化に寄与していることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

マウスの交配計画の遅れなどから、TetTagマウスを用いた研究など一部遅れ気味の研究もあるものの、当初計画にはなかった、エンドセリンによるNaxの調節機構の解明や膜での安定化機構の解明に成功した。いずれも、塩分に対する欲求性制御機構の解明に一歩近づく重要な成果であり、当初の計画以上に研究が進展している。

今後の研究の推進方策

おおむね順調に進行しているので、当初計画通り進める。

次年度の研究費の使用計画

24年度使用予定のTetTagマウスを25年度に使用することになった。25年度経費と併せてTetTagマウスを用いた感覚性脳室周囲器官におけるマーカー分子の発現分布解析を実施する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Endothelin-3 Expression in the Subfornical Organ Enhances the Sensitivity of Nax, the Brain Sodium-Level Sensor, to Suppress Salt Intake2013

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Y. Hiyama
    • 雑誌名

      Cell Metabolism

      巻: 17 ページ: 507-519

    • DOI

      pii:S1550-4131(13)00096-X.10.1016/j.cmet.2013.02.018

    • 査読あり
  • [雑誌論文] SAP97 promotes the stability of Nax channels at the plasma membrane2012

    • 著者名/発表者名
      Masahito Matsumoto
    • 雑誌名

      FEBS Letters

      巻: 586 ページ: 3805-3812

    • DOI

      10.1016/j.febslet.2012.09.018.

    • 査読あり
  • [学会発表] 脳弓下器官(subfornical organ : SFO)に対する自己抗体を認めた本態性高Na血症の一例2012

    • 著者名/発表者名
      宇都宮朱里
    • 学会等名
      第46回日本小児内分泌学会学術集会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府)
    • 年月日
      2012-09-27
  • [学会発表] SAP97はNa_xチャンネルの細胞表面発現を促進する2012

    • 著者名/発表者名
      松本匡史
    • 学会等名
      第35回日本神経科学大会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県)
    • 年月日
      2012-09-18
  • [学会発表] Naイオンと脳 : 体液の調節機構2012

    • 著者名/発表者名
      檜山武史
    • 学会等名
      第12回 日本抗加齢医学会総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)(招待講演)
    • 年月日
      2012-06-24
  • [備考]

    • URL

      http://www.nibb.ac.jp/press/2013/03/29.html

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公開日: 2014-07-16  

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