研究課題
我々は、最近、vasopressin V1a受容体の多型の一つを有するヒトは不精で運動習慣が定着しにくいこと、V1a受容体欠損マウスでは運動開始時の血圧上昇が起きず、自発運動が阻害されていることを報告した。本研究の目的は、1) このマウスで得られた結果が、ヒトV1a受容体遺伝子多型にも当てはまるかを検証し、2)この体質の改善方法を開発することであった。1) 運動習慣の定着率が低いヒトは運動開始時の昇圧反応が阻害されているか過去にインターバル速歩トレーニングを実施しているが、現在は実施していない中高年男性を対象とした。過去のトレーニング実施率のデータから、運動習慣の定着率の低い群と高い群(すなわち、vasopressin V1a受容体の多型保有者と非保有者)計25名について、運動を予測するブザーの合図で自転車運動を開始した際の脳波、脳血流、血圧、心拍数を連続測定した。その際の大脳皮質活動の上昇⇒血圧反射抑制⇒血圧上昇⇒自転車運動の一連の反応を運動習慣の定着率の低い群と高い群で比較した。その結果、定着率の低い群では高い群に比べ、ブザーの合図で大脳皮質活動(脳波beta/thetaと脳血流)が上昇しても、一連の反応が遷延しているのではないか、という仮説のもとに現在解析中である。2) 運動習慣の定着率が低いヒトの体質改善方法の開発「運動しよう」とする動機づけを増強させると昇圧反応を引き起こすためのより強い大脳皮質からの遠心信号を受けて、上記の一連の反応が改善することが期待された。そこで、運動習慣の定着率の低い群、高い群それぞれに、1ヶ月間インターバル速歩トレーニングを行わせた。この際、日々のトレーニング直後に乳製品を摂取させ、動機付けを増強させる介入を行った。その結果、定着率の低い群においても、トレーニングの定着率が高い群と同じレベルまで改善することを示唆する結果を得た。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)
J Appl Physiol
巻: 118 ページ: 595-603
10.1152/japplphysiol.00819
Int J Sports Med
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
自律神経
巻: 45 ページ: 45-49
保健の科学
巻: 57 ページ: 22-25
PLoS One
巻: 9 ページ: 1-9
10.1371/journal.pone.0108690