加齢に伴い発現量が変化する間葉系幹細胞(MSC)の分泌因子群から、老齢マウス由来MSCの骨芽細胞分化能を回復する因子を同定した。このMSC由来因子の血中濃度を老齢マウスで上昇させると、筋再生能の向上、リンパ球数の減少の回復、脳内神経前駆細胞数の増加、血中サイトカイン濃度の低下など、様々な組織において機能改善効果が見られた。この研究成果は特許出願を済ませ、論文投稿中である。 一方、幹細胞老化の分子メカニズムについては、若齢時と異なり、老齢時には正常な応答ができずにDNA損傷の蓄積が誘導される現象を発見した。この現象に関与する分子群を同定し、現在この現象を回復できるかどうかの検討を行っている。また、個体スケールの老化現象への幹細胞老化の寄与を検討するため、これまでに得られた知見を元に遺伝子改変マウスを作製した。引き続き検討を行い、成果を公表していく。
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