研究課題
本研究の目的はGirdin分子を基点として特異的エンドサイトーシスの制御機構を解明するとともに、同機構が癌・精神疾患の病態において果たす役割を明らかにすることである。これまでにGirdinがカドヘリンやトランスフェリン受容体のエンドサイトーシスを特異的に制御すること、GirdinのN末端ドメインにダイナミンへの結合領域およびダイナミン活性の制御機能が存在することを明らかにした。さらにGirdinによる選択性エンドサイトーシスの異常が上皮細胞の癌化過程でみられる極性の破綻につながる可能性について明らかにした。本年度は細胞表面で観察されるエンドサイトーシスの動態を全反射照明蛍光顕微鏡で観察し、Girdinがエンドサイトーシスのホットスポットに集積しエンドサイトーシスの初期段階から小胞の取り込みまでの複数のステップに関わる分子であることを見出し、論文で報告した。以前にGirdinは成体脳の海馬や脳室下帯の神経幹細胞から分化する神経芽細胞の移動に重要であり精神疾患の発症に関わることを報告した。本年度はGirdinによる特異的エンドサイトーシスの制御が神経芽細胞におけるN-カドヘリンの動態に重要であることを見出した。N-カドヘリンの機能制御には細胞内の膜輸送機構が関わることが知られているが、私達はモーター分子の一つkinesinがGirdinに結合することを見出し、これがN-カドヘリンの動態に与える影響について検討した。またGirdinが癌関連線維芽細胞(CAF)にも発現していること、Girdinの発現を抑制したCAFでは運動能が低下すること、またそのようなCAFと腫瘍細胞を共移植した場合に腫瘍の進展が抑制されることを明らかにした。本結果はGirdinによるCAFの運動制御が癌の進展に重要であることを示しており、論文で報告した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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