研究課題
本研究課題の目的は、非侵襲かつ放射線被曝のない画像モダリティーである超音波を用いて可視化した膝関節像より、変形性関節症(OA: osteoarthritis)の病態である関節軟骨領域を自動的に抽出するアルゴリズムの開発すること、抽出領域より三次元関節軟骨モデルを作成し形態学的な定量評価を行うための最適な測定項目を確立すること、そして、得られた測定値の再現性や正確性などの精度の検証を行うこと、により超音波を用いた膝関節軟骨自動定量システムを確立することである。平成24年度に開発した、自動的に関節軟骨領域の抽出を行うことが可能なアルゴリズムを用い、関節軟骨領域のセグメンテーションならびに3次元関節軟骨モデルの作成を行い、大腿骨内側顆部荷重部に関心領域(ROI)を設定し、関節軟骨厚を測定する手法を開発した。三次元関節軟骨モデルは超音波撮像された全ての領域の関節軟骨を含むこととなるが、臨床上評価対象として重要なROIは主に大腿骨内側荷重部周辺であると考えられている。ROI位置決定の精度はそのまま定量評価の精度に影響を及ぼすが、その位置決定法に関しては、形状の特徴点から決定してゆく絶対的手法により行った。本手法による関節軟骨厚測定値について、正確性を実際の患者MRIモデルとの比較、再現性を複数回の撮像・抽出作業・測定の繰り返しによる軟骨厚測定により検証した。その結果、三次元MRIモデルとの軟骨厚測定値の相関係数は0.832であり、測定値の差は0.0467mmであった。また、複数回による測定値の変動係数は3.1%であり、これまで行ってきた手動の測定値の変動係数である5.1%よりも低値であった。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度の研究予定であった、関節軟骨自動抽出アルゴリズムを用いた超音波関節軟骨厚測定法の開発を達成することができ、また本法の正確性・再現性評価を行うことができた。
今後は、今年度正確性・再現性の評価を行った自動関節軟骨抽出アルゴリズムを用いた超音波関節軟骨厚測定法を用い、健常者・変形性関節症患者のそれぞれに測定を行い、その有用性の評価を行う。三次元モデル作成:平成24年度にて確立した超音波画像における関節軟骨領域抽出法を用い、膝関節超音波画像を二値化し、100枚の円弧状に位置する各画像における二次元関節軟骨領域より、三次元関節軟骨モデルである表面形状モデル(以下STLモデル)を作成する。評価関心領域(ROI)決定:STLモデルは超音波撮像された全ての領域の関節軟骨を含むこととなるが、臨床上評価対象として重要なROIは主に大腿骨内側荷重部周辺であると考えられている。ROI位置決定の精度はそのまま定量評価の精度に影響を及ぼすが、その位置決定法に関しては、形状の特徴点から決定してゆく絶対的手法により十分な再現性が実証できたためこの手法を用いる。形態学的評価法:STLモデルにおけるカラーマッピングによる評価、ROIにおける関節軟骨厚、表面凹凸度、また、それらの体格による補正値などについて測定を行う。臨床評価:現在進行中である、健常者および変形性膝関節症患者や進行手術例の超音波膝関節画像の収集・データベース化を進め、これまでに開発を行った超音波関節三次元定量評価法を用いて評価を行う。レントゲンによるOA重症度によるグループ分けを行い、それぞれの群における関節軟骨定量値の評価、グループ間の比較、リスク評価などを行う。さらに、横断的な調査に加えて、縦断的な調査を行うことで本法による関節軟骨三次元形態定量評価の有用性の評価を行う。
超音波三次元関節軟骨抽出アルゴリズムおよび形態評価機能の開発を優先してこれまで研究を進めてきており、収集データのデータベース化および計測作業を今後行ってゆくため。上記作業のため、三次元モデル作業・計測作業・・ソフトウェアの購入が必要となる。
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