わが国における結核菌臨床分離株の遺伝的特異性に着目し、日本固有性が高い2系統(G3群、G4群)の比較ゲノム解析と、系統的代表株(計12株)の全ゲノム配列決定を行った。G3/G4群の比較解析では、全国各地から菌株を収集し、ゲノム全域にわたる固有変異の抽出に成功した。変異情報に基づく分子系統樹では両群ともに分岐点が集中しており、いずれも短期間のうちに拡散し、その後国内固有群として広く定着した経緯が示唆された。また、G4群における既存型別法の問題点が浮き彫りとなった。国内株の全ゲノム配列は標準株と高い相同性を示したが、ゲノム内に点在する相同遺伝子間の比較を目的とした参照配列としての活用が期待される。
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