研究課題/領域番号 |
24689039
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大久保 卓哉 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (90587461)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | ALS / 霊長類モデル / TDP-43 / 伝播 |
研究概要 |
我々が世界で初めて構築することに成功した世界初の霊長類ALSモデルにおいて、TDP-43の伝播機序を解明する目的で、pAAV-IRES-hrGFPベクターを用いてヒト野生型TDP-43とhrGFPを同日寺に過剰発現させ、脊髄におけるTDP-43の拡がりを解析した。カニクイザル第6頸髄(C6)利き手側の前角細胞付近にflagで標識したヒト野生型TDP-43発現AAVl-IRES-hrGFPベクター(3x 10^<12>vg/ml、5μl)を注入し、完全麻痺となった4週後に解剖し、病理組織検査、PCR解析を行った。GFPの拡がりは注入部位から4髄節レベル以内に留まっていたが、外因性TDP-43の拡がりはC1からL1レベルまで広範囲に及んでおり、後角や中間外側核での発現は稀で、運動神経細胞にほぼ限局していた。垂直方向の拡がりはmotorco lumn内で連続して発現していたが、対側の内側核の発現は認めず、外側核の発現は非連続していた。また、C6のウイルス注入部位付近では神経細胞だけでなく、グリア細胞にもflag-TDP-43の発現を認め、ウイルス濃度の高い部位では局所のグリア細胞間あるいはグリア-神経細胞間での伝播の可能性が考えられた。外因性TDP-43陽性神経細胞の脊髄における伝播は、局所の細胞間での拡がり(local cell-to-cell spread)と、単一motorco lumn内での拡がり(intracolu mnspread)、異なるmotorco lumn間での拡がり(intercolumn spread)の2方向の機序が考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災の影響で医薬基盤研究所からのカニクイザルの供給が十分でなく、年末にようやく外部業者から購入することが決まり、手続きに時間を要したため。
|
今後の研究の推進方策 |
予定通り、ALS患者脳の界面活性剤不溶性蛋白画分の脊髄注入による伝播モデルの構築を目指したい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
未だに医薬基盤研究所からのカニクイザル供給が十分とはいえない状況のため、必要に応じて昨年同様に外部業者からサルを購入し、実験を行っていく予定である。
|