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2014 年度 実績報告書

不安定プラークの診断・薬物治療効果評価を合目的的に施行するためのシステムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 24689049
研究機関浜松医科大学

研究代表者

小川 美香子  浜松医科大学, メディカルフォトニクス研究センター, 准教授 (20344351)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード動脈硬化 / 分子イメージング / 不安定プラーク / PET
研究実績の概要

動脈硬化病変に生じる不安定プラークは脳・心筋梗塞の原因となるため、早期に検出し治療を行うことが重要である。これまでに、様々な生体分子をターゲットとした不安定プラーク分子イメージング剤が開発されているが、プラークの早期特異的検出・治療効果評価に着目した比較検討はなされていない。そこで本研究では、不安定プラークの臨床診断・薬物治療効果評価を合目的的に施行するためのシステムの構築を目指している。
平成26年度は、[18F]FDG, [18F]FMISO, [18F]NaF, [11C]PK11195, [11C]Cholineについて、PETの非侵襲性を生かし、一匹の個体にて1年間経時的に検討を行った。WHHLウサギは月齢によって不安定プラークの成熟度が異なることが知られており、さらにヒトの病変に酷似していることから本研究の目的に合致する。なお、PET撮像時には大動脈の位置同定のため造影CT撮像も併せて行い、石灰化の評価を同時に行うこととした。MRIでのT1, T2強調画像を撮像も合わせて行い、PETの検出能に関する比較を行った。
この結果、[18F]FDG, [18F]NaF, [11C]PK11195においては、動脈硬化病変が画像化される個体が認められた。また、14か月齢と24か月齢において集積が変化しており、それぞれの薬剤の分布も一致する場所と一致しない場所が認められた。また、特に14か月齢においては必ずしも[18F]NaFとCTで観察された石灰化は一致していなかった。
画像撮像後、大動脈を摘出し切片を作成し、各種染色(マクロファージ・マッソントリクローム染色、Oil-redO染色、Azan染色、HE染色)を行って病理像と比較し検討したところ、MRIで認められる脂質の蓄積だけでは評価を行うことが難しく、PETの情報を加味した総合的な評価が必要であることが判った。本研究で得られた病理データを基に、今後も病理の専門家とも協力し解析を進めていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定どおり、本年度までに動脈硬化イメージング剤の比較検討を行った。この際、同一個体にて経時的に行うことにより、各薬剤の特徴を見出すことができた。なお、本解析はトレーサー間だけでなく経時的に定量的な比較が必要であるため、当初、ウサギの体による放射線の吸収・散乱を加味せず解析を行っていたが、個体の成長を加味する必要があることがわかり、ウサギの体による放射線の吸収・散乱補正の追加の必要性が生じた。これを遂行するために、生データを見直し解析方法を変更したことにより、現在継続して解析中であり、平成27年度に延長して再解析を行うこととした。
既に取得済みの病理像との比較についても上記結果を基にして行った後、学会・論文等で公表する予定である。

今後の研究の推進方策

平成27年度は、平成26年度までに撮像が終了している画像について、再解析を進め、定量的な評価を行う。この結果を基に病理像との詳細な比較検討についても進め、新たな知見を見出していく。
以上の結果をもとに、将来、ヒト臨床試験へのステップアップ、あるいは、他の分子を標的としたイメージング剤の開発へと展開していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

本解析はトレーサー間だけでなく経時的に定量的な比較が必要であるため、当初、ウサギの体による放射線の吸収・散乱を加味せず解析を行っていたが、個体の成長を加味する必要があることがわかり、ウサギの体による放射線の吸収・散乱補正の追加の必要性が生じた。これを遂行するため、生データを見直し解析方法を変更したため、現在継続して解析中であり、未使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

このため、PET画像の再解析(計算)と世界分子イメージング学会および日本核医学会での発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] PEG modification on (111)In-labeled phosphatidyl serine liposomes for imaging of atherosclerotic plaques.2015

    • 著者名/発表者名
      Ogawa M, Uchino R, Kawai A, Kosugi M, Magata Y.
    • 雑誌名

      Nucl Med Biol

      巻: 42 ページ: 299-304

    • DOI

      10.1016/j.nucmedbio

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Comparison of the PET imaging agents for atherosclerotic plaque detection2015

    • 著者名/発表者名
      Mikako Ogawa, Mutsumi Kosugi, Haruka Ishiguro, Yasuhiro Magata
    • 学会等名
      World Molecular Imaging Congress
    • 発表場所
      Honolulu
    • 年月日
      2015-09-02 – 2015-09-05
  • [学会発表] 動脈硬化不安定プラークPETイメージング剤としての[18F]FDGと[11C]cholineの比較2015

    • 著者名/発表者名
      小川 美香子, 小杉 睦, 間賀田 泰寛
    • 学会等名
      日本薬学会第135年会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-03-26 – 2015-03-28
  • [学会発表] 動脈硬化不安定プラークイメージング剤としての[18F]FDGと[11C]cholineの比較2014

    • 著者名/発表者名
      小川美香子、小杉睦、間賀田泰寛
    • 学会等名
      日本核医学会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2014-11-06 – 2014-11-08
  • [学会発表] マルチモダル分子イメージングによる病態解析2014

    • 著者名/発表者名
      小川美香子
    • 学会等名
      第87回 日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2014-10-17 – 2014-10-17
    • 招待講演
  • [学会発表] WHHLMIウサギを用いた動脈硬化の分子イメージング2014

    • 著者名/発表者名
      小川美香子、朱蕙君、間賀田泰寛、清水広介、奥直人
    • 学会等名
      第3回ウサギバイオサイエンス研究会
    • 発表場所
      甲府
    • 年月日
      2014-08-02 – 2014-08-02
  • [学会発表] Evaluation and comparison of [18F]FDG and [11C]choline as atherosclerosis imaging agents2014

    • 著者名/発表者名
      Mikako Ogawa, Yoshiko Kondo, Mutsumi Kosugi, Yasuhiro Magata
    • 学会等名
      Society of Nuclear Medicine Annual Meeting
    • 発表場所
      St Louis, USA
    • 年月日
      2014-06-10 – 2014-06-10

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公開日: 2016-06-01  

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