研究課題/領域番号 |
24689051
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研究種目 |
若手研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三浦 裕 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40557980)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ドラックデリバリー / ナノ材料 / 動脈硬化症 |
研究概要 |
本研究の目的である動脈硬化症ならびに動脈硬化症に起因する疾患を標的としたドラッグデリバリーシステム(DDS)医薬の開発を遂行するためには、動脈疾患に対して安定にドラッグを運搬するキャリアの開発ならびに動脈疾患に対するナノDDSの集積メカニズムを理解することが重要である。そのため平成24年度はドラッグキャリアを構成するためのブロックポリマーの合成、キャリアの調整、蛍光ラベル化したキャリアの動脈疾患への集積メカニズムの解明について検討した。はじめに、ポリエチレングリコールとポリアミノ酸から構成されるブロック共重合体 (PEG-b-Poly(Asp):12kDa-DP75)とアミノ酸の単重合体(Poly(Asp-AP):DP82)で調整し、さらにEDC架橋を施したポリイオンコンプレックス(PICsome)を合成した。このようなPICsomeは容易にサイズを調整することが可能であった。次に異なるサイズのPICsomeをエラスターゼによって誘起させたラット腹部大動脈瘤モデルに対して投与し、疾患部位に対する集積性を評価した。その結果、大動脈瘤に対するナノDDSの集積がサイズ依存的に変化することが判明した。特に100nmのPICsomeは投与後速やかに集積し、且つ、長期に滞留することが明らかとなった。このような知見は、これまでの動脈疾患に対するDDS研究では報告例がなく、動脈疾患をターゲットするキャリアの設計に役立つ重要な発見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画では、本研究ターゲットに対するナノ粒子の集積を向上させるためにはリガンド分子の導入が必須と考えられた。しかしながら、今年度の研究に於いて粒子のサイズ依存的な集積が確認されている。このような知見は、これまで報告例がないことから、循環器疾患に対するDDSの設計として非常に重要な発見である。今後、サイズとリガンドの二つの相乗効果による発展が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
ドラッグ内包キャリアを用いて、生物学的評価、すなわち安定性、毒性試験、細胞内動態に関して、in vitroで詳細に検討を行い、各機能の最適条件を探る。最終的には最適条件の各機能を兼ね備えたナノDDSキャリアを作製して評価を行う。
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