研究課題
本研究では、高分子型ミセルを用いた動脈硬化症ならびに動脈硬化症に起因する疾患を標的としたドラッグデリバリーシステム(DDS)について検討している。昨年度までは内動脈瘤に対する100nmのキャリアが動脈瘤に対して選択的に集積することを見出していた。この知見に基づき、新たに粒径が100nmの種々の薬剤内包キャリアを新たに合成し、これらをエラスターゼによって誘起させたラット腹部大動脈瘤モデルに対して適用したところ、シロリムス誘導体を内包したキャリアの投与群において動脈瘤の形成を有意に抑制することが確認された。同キャリアの体内動態を調べた結果、動脈瘤へのキャリアの集積は時間依存的に増加し、投与後12時間で最大値に達することが判明した。一方、内膜肥厚に対して架橋ポリイオンコンプレックス(PICsome)を用いて集積性を調べた結果、40nm以下のサイズが特異的に集積することが判明した。また、キャリアは血管の弾性板の内側に侵入し、さらに48時間以上滞留することが確認された。さらに試験的な実験として40nmのエピルビシン内包ミセルを合成し、それらを投与した動物実験を行った結果、内膜肥厚に対する一定の抑制効果が確認された。今後は、内膜肥厚ならびに動脈瘤の治療効果について作用機序を勘案しながら検討を継続する。
2: おおむね順調に進展している
動脈瘤と内膜肥厚に対するキャリアのサイズ依存的な集積性を見出すとともに、その効果を最大限に発揮するための新たな薬剤内包キャリアを創成し、同疾患モデルに於いて一定の治療効果を確認できるレベルに至っている。
今後は、内膜肥厚ならびに動脈瘤の治療効果について作用機序を勘案しながら検討を継続する。
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