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2012 年度 実績報告書

小胞体を起点とする骨軟骨代謝の制御と破綻

研究課題

研究課題/領域番号 24689058
研究種目

若手研究(A)

研究機関広島大学

研究代表者

齋藤 敦  広島大学, 大学院・医歯薬保健学研究院, 助教 (30580394)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードOASIS / BBF2H7 / 軟骨細胞 / 骨芽細胞 / 小胞体ストレス
研究概要

我々が同定に成功している小胞体ストレスセンサーOASISおよびBBF2H7の骨格系組織における機能解明を目指した。
1.軟骨組織におけるBBF2H7の役割
軟骨細胞においてBBF2H7はその下流で抗アポトーシス作用を示すATF5-MCL1経路を活性化させ、アポトーシスを回避していることがわかった。軟骨細胞の分化の過程では、大量の軟骨基質タンパクが合成されることによって生理的な小胞体ストレスが発生する。BBF2H7-ATF5-MCL1経路はこの生理的な小胞体ストレスによる細胞への傷害を回避するために活性化している可能性が示唆された。
2.BBF2H7のC末端断片の役割
BBF2H7のC末端断片が細胞外に分泌され、ヘッジホッグシグナルの活性化を介して周辺細胞の細胞増殖を促進していることがわかった。このことから、軟骨細胞においてBBF2H7はN末端断片による軟骨基質タンパクの分泌促進と、C末端断片による細胞増殖の促進という二つの機能をもつことが明らかになった。
3.OASISおよびBBF2H7の活性化機構の解明
OASISおよびBBF2H7の活性化機構解明を試みた結果、以下の特徴を有することが明らかとなった。
(1)OASISおよびBBF2H7は常にプロテアゾームによる分解を受ける。(2)小胞体ストレスが負荷されると、OASISおよびBBF2H7は分解から回避し、安定化する。(3)安定化したOASISおよびBBF2H7はすみやかにゴルジ装置に輸送され、プロテアーゼによる膜内切断を受ける。(4)E3ユビキチンライゲースであるHRD1がOASISおよびBBF2H7のプロテアゾーム分解に関与する。以上のことから、HRD1の発現を減弱させることでOASISおよびBBF2H7の機能を促進できることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画であった小胞体ストレスセンサーの活性化機構の解明、転写因子としての機能の解明、分泌因子としての機能の解明の全てを達成し、小胞体ストレスおよび小胞体ストレス応答による骨軟骨組織の形成とその破綻によって発生する障害の一端を明らかにすることができたため、計画はおおむね順調に進展していると判断する。

今後の研究の推進方策

各センサータンパクの転写因子および分泌因子としての詳細な機能を明らかにすることで、骨・軟骨代謝を制御する小胞体ストレス応答系のシグナル系統図を完成させる。同時に各小胞体ストレスセンサーの活性化を人為的に操作できる化合物を選定する。また、各センサーの欠損マウスを作製または入手し、疾患との関わりを追究する。

次年度の研究費の使用計画

次年度にシグナル系統図を完成させるため、遺伝子導入実験を頻繁に行う予定である。そのために遺伝子導入試薬を含めた培養細胞実験に必要な試薬および器具を購入するために使用する。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Activation of OASIS family, ER stress transducers, is dependent on its stabilization.2012

    • 著者名/発表者名
      Kondo S, Hino S, Saito A, Kanemoto S, Kawasaki N, Asada R, Izumi S, Iwamoto H, Oki M, Miyagi H, Kaneko M, Nomura Y, Urano F, Imaizumi K.
    • 雑誌名

      Cell death and differentiation

      巻: 19 ページ: 1939-1949

    • DOI

      10.1038/cdd.2012.77.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Endoplasmic Reticulum Stress Transducer BBF2H7 Suppresses Apoptosis by Activating the ATF5-MCL1 Pathway in Growth Plate Cartilage.2012

    • 著者名/発表者名
      Izumi S, Saito A, Kanemoto S, Kawasaki N, Asada R, Iwamoto H, Oki M, Miyagi H, Ochi M, Imaizumi K.
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 287 ページ: 36190-36200

    • DOI

      10.1074/jbc.M112.373746.

    • 査読あり
  • [学会発表] Unfolded protein response activated by OASIS family transcription factors is involved in astrocyte differentiation.2013

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Saito, Tsukasa Sanosaka, Kinichi Nakashima, Kazunori Imaizumi.
    • 学会等名
      第118回日本解剖学会総会全国学術集会
    • 発表場所
      香川
    • 年月日
      2013-03-28
  • [学会発表] 小胞体ストレスセンサーOASISによるアストロサイト分化制御の機構2013

    • 著者名/発表者名
      齋藤 敦、佐野坂 司、中島 欽一、今泉 和則
    • 学会等名
      第45回広島神経医科学研究会
    • 発表場所
      広島
    • 年月日
      2013-01-16
  • [学会発表] 小胞体ストレスセンサーBBF2H7の小胞体内腔ドメインは細胞外に分泌され、周辺細胞の細胞増殖を促進する2012

    • 著者名/発表者名
      齊藤 敦、浅田 梨絵、岩本 秀雄、泉 聡太朗、金本 聡自、今泉 和則
    • 学会等名
      第85回日本生化学会大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2012-12-15
  • [学会発表] 軟骨細胞におけるSox9を介した小胞体ストレスセンサーBBF2H7の発現制御機構2012

    • 著者名/発表者名
      木戸 美織、齋藤 敦、金本 聡自、浅田 梨絵、今泉 和則
    • 学会等名
      第85回日本生化学会大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2012-12-15
  • [学会発表] 小胞体ストレスセンサーBBF2H7の小胞体内腔ドメインの新機能2012

    • 著者名/発表者名
      齋藤 敦、浅田 梨絵、岩本 秀雄、泉 聡太朗、金本 聡自、今泉 和則
    • 学会等名
      第7回小胞体ストレス研究会
    • 発表場所
      広島
    • 年月日
      2012-11-09
  • [学会発表] Unfolded protein response activated by OASIS family transcription factors is involved in astrocyte differentiation.2012

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Saito, Tsukasa Sanosaka, Kinichi Nakashima, Kazunori Imaizumi.
    • 学会等名
      第55回日本神経化学会大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2012-09-30
  • [学会発表] 小胞体ストレスセンサーOASISファミリーを介した骨軟骨形成2012

    • 著者名/発表者名
      齋藤 敦、今泉 和則
    • 学会等名
      第30回日本骨代謝学会全国学術集会
    • 発表場所
      東京(招待講演)
    • 年月日
      2012-07-20
  • [学会発表] 小胞体ストレス応答シグナルによる軟骨細胞のアポトーシス制御機構2012

    • 著者名/発表者名
      泉 聡太朗、齋藤 敦、越智 光夫、今泉 和則
    • 学会等名
      第30回日本骨代謝学会全国学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2012-07-20
  • [学会発表] Unfolded protein response is involved in astrocyte differentiation.2012

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Saito, Tsukasa Sanosaka, Kinichi Nakashima, Kazunori Imaizumi.
    • 学会等名
      Cold Spring Harbor 2012 meetings, Molecular Chaperones & Stress Response
    • 発表場所
      Cold Spring Harbor Laboratory (NY, USA.)
    • 年月日
      2012-05-03
  • [備考]

    • URL

      http://home.hiroshima-u.ac.jp/imaizumi/

URL: 

公開日: 2014-07-16  

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