研究課題
1. Mφ機能不全マウスへのM-CSF投与による腎結石予防効果:M-CSF遺伝子欠損マウス(ob/ob)と野生型マウスにおける結石形成およびマクロファージ遊走を免疫染色・FACSを用いて比較した。M-CSF遺伝子欠損マウスでは腎の抗炎症性(M2)マクロファージが欠損しており、野生型と比較して結石形成が増加した。さらにM-CSFの投与により、抗炎症性(M2)マクロファージが増加すると共に、結石形成が増加した。2. 結石形成に関わるヒト血中・尿中炎症関連蛋白のマルチプレックス解析:本研究を実施するにあたり、名古屋市立大学大学院医学研究科倫理審査委員会での承認を得た。当院一般外来、尿路結石症外来を通院する患者のうち、検尿沈渣異常、腫瘍の既往、自己免疫疾患既往、ステロイド服用患者を除いた健常者、結石患者より一時尿を採取し、結石関連無機物質およびMAGPIXシステムによってマクロファージ関連因子をマルチプレックス解析にて同時測定した。結果として、結石患者は、健常者と比較して炎症性マクロファージ関連因子の有意な増加、抗炎症性マクロファージ関連因子の有意な低下を認めた。今後、症例数を増やした上、追加解析を行う。3. 共培養システムを用いたMφ結晶処理機能の制御法の開発:Mφ細胞(J774.1)および尿細管細胞(M-1)の培養を実施し、位相差顕微鏡・蛍光顕微鏡・共焦点顕微鏡を用いた結晶貪食率・結晶貪食指数の確立を行った。
2: おおむね順調に進展している
各研究ともほぼ予定通り進行している。
1. Mφ機能不全マウスへのM-CSF投与による腎結石予防効果:マクロファージ機能不全マウスに対するM-CSF投与により、尿路結石形成が抑制できることが判明した。今後は、M-CSF投与によって抗炎症性マクロファージ(M2)に分化させた培養Mφをマクロファージ機能不全マウスに投与することによって、結石形成が抑制できるかどうかを判定する。またFlowcytometryにより、腎結石形成におけるマクロファージの分類を行う。2. 結石形成に関わるヒト血中・尿中炎症関連蛋白のマルチプレックス解析:今後はMagPixシステムを用いて、まずは一時尿におけるマクロファージ関連因子の測定を実施する。3. 共培養システムを用いたMφ結晶処理機能の制御法の開発:引き続いて培養Mφによる結晶貪食能を解析する研究を行う。特に本年は、一般マクロファージをサイトカインを用いて炎症性マクロファージ(M1)と抗炎症性マクロファージ(M2)に分化させて、結晶の貪食能に差異が生じるかを観察する。
マルチプレックス解析を用いたヒト尿中因子の解析研究において、ヒト検体の収集が年度末となり、MagPixシステムにおける、マクロファージ関連因子購入パネル(Human Chemokine/Cytokine Panel I)の購入が次年度にずれ込んだ。予定通り、マルチプレックス解析を行っていく。尚、次年度もこの解析は、解析パネルの有効性の検証を行いながら、測定項目を選択しつつ、複数回行っていくため、新しい測定キットの購入は必須で有る。
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