研究実績の概要 |
HapMapプロジェクト(http://www.hapmap.org/)で採取されたlymphocyteをEB virusで不死化したlymphoblastoid cellsを,敗血症を模したcytokine mixture(TNF-alpha, IL-1beta, IFN-ganmma[各2.5 ng/mL], CpG [12.5uM])で刺激し.24時間後の細胞培養液中のIL-6濃度を測定し,これらを量的遺伝子形質として,ゲノムワイド関連解析(GWAS stage 1)を行った.またステロイドに影響されない遺伝子多型を探索するために,上述の敗血症細胞実験モデルはステロイド投与の条件下でも行った(GWAS stage 2).これらの多段階GWASでvacuolar protein sorting 13 homolog D (VPS13D),sorbin and SH3 domain containing 2 (SORBS2)の2つの遺伝子多型と敗血症刺激によるIL-6産生と関連がある結果を得た.そこでこれらの遺伝子多型を重症敗血症コホート(n=588)でgenotypingした.その結果,VPS13D rs6685273 C alleleは高いIL-6産生,高い28日死亡率と関連した.VPS13D遺伝子はその機能が不明であったため,siRNAを用いて遺伝子制御を行い,VPS13D knock downが敗血症刺激に対するIL-6産生を増加させる結果を得た.本研究は重症敗血症に影響を与える新規の遺伝子多型の発見を目的にゲノムワイド関連解析を行い,重症敗血症の転帰と関連する新規遺伝子多型を明らかとした.
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