研究課題/領域番号 |
24689072
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水田 健太郎 東北大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (40455796)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 気管支喘息 / 肥満 / 遊離脂肪酸 / 受容体 |
研究概要 |
本年度は、気管平滑筋における遊離脂肪酸受容体GPR120の同定と、気管平滑筋収縮機構を中心に研究を行った。 1.Western blot法及び免疫組織科学染色により、ヒト気管平滑筋組織、及びモルモット気管平滑筋組織におけるGPR120受容体の蛋白レベルでの発現を確認した。 2.FFAR1受容体及びGPR120受容体の天然リガンドである長鎖脂肪酸(オレイン酸、リノレン酸)を、ヒト気管平滑筋細胞に投与することで生じる、細胞内カルシウムイオン濃度の一過性上昇反応は、siRNAによるFFAR1受容体ノックダウンでは有意に抑制されたのに対し、GPR120受容体のノックダウンでは抑制されなかった。以上より、ヒト気管平滑筋細胞においては、長鎖脂肪酸はもっぱらFFAR1受容体に作用することが示唆された。 3.オレイン酸、リノレン酸、及びGW9508を、ヒト気管平滑筋細胞に投与することで生じる、細胞内カルシウムイオン濃度の一過性上昇反応は、細胞外カルシウムイオンを枯渇させた場合、20%程度抑制された。また、TRPV1チャネル遮断薬であるcapsazepineを前投与した場合にも、この反応は20%程度抑制された。昨年度得られた結果と総合すると、長鎖脂肪酸により生じる一過性細胞内カルシウムイオン濃度上昇反応は、細胞内カルシウムストアからのカルシウムイオン供給を主な供給源としながらも、細胞外からのカルシウムイオン流入も一部寄与していることが明らかとなった。 4.イソプロテレノール投与により生じるモルモット気管輪弛緩作用は、オレイン酸、リノレン酸、またはGW9508の投与により減弱された。 次年度は遊離脂肪酸を介した慢性炎症形成機構と気道リモデリングの解明を中心に実施していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、順調に伸展している。次年度は遊離脂肪酸を介した慢性炎症形成機構と気道リモデリングの解明を中心に実施していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も当初の計画通り、研究を遂行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度からの繰り越し分から、ベンチサイド顕微鏡を購入した。しかし想定より安価に購入できたため、平成25年度分にも、額は減少したものの、次年度使用額が生じた。 気道リモデリングの細胞内シグナリング機構について、主にウエスタンブロット法によって評価していく予定である。この方法では、多種・多数の抗体が必要であることから、抗体購入費用に充てる予定である。
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