研究概要 |
本年度は、更年期女性の行動特性を明らかにすべく、鏡映描写法に眼球運動・注視点追跡システムを合わせた急性ストレス負荷試験を実施できるよう、装置の整備及び予備実験を行った。まず、新たに眼球運動計測装置(nac, EMR-9)を購入し、被験者の眼球運動や注視点の測定方法を確認した。眼球運動計測装置は、身体装着可能なものとし、被験者に帽子型のヘッドユニットを被ってもらい、ヘッドユニットに装着されたビデオカメラで瞳孔を撮影した。予備実験の結果、被験者の目の大きさが小さい場合やキャリブレーションの方法に注意し、被験者の注視点や注視時間を明らかにしていくことが課題となった。鏡映描写法についてもコンピューター制御でテストを行えるよう整えた。被験者がパソコン画面の星形を見ながらタブレット(WACOM, UD-1212-RSR)上で電子ペンを上下左右に動かすと、画面上に軌跡が黒く描かれるよう、ディスプレイと端末コンピューター(NEC, VALUESTAR G)および実験制御コンピューター(NEC, Express5800)をLAN構成した。図形は五角形の星形(周辺長45cm)で、色は暗緑色、枠の幅は24ピクセル(約6mm)とし、画面の中央に提示した。鏡映描写テストは、鏡に映る星形を見ながら鏡映像の枠内をはみ出さないようペンで辿っていくもので、鏡映像を見ることと定められた枠内を辿る手指の運動の身体的動作を協応させることから、実験心理学において知覚運動学習の成立過程の研究が行われている。知覚運動学習には注意力や集中力が必要であり、試行中に誤反応を避け、課題を早く達成しようとする緊張感が生じることから、更年期女性に急性ストレスを負荷させるものとして相応しいと考えた。今後、鏡映描写法と眼球運動・注視点追跡システムを連動させ、本実験を実施していきたいと考えている。
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