研究概要 |
本研究では,主にロバストなネットワーク制御・設計が求められる問題を対象に,グラフを用いた離散最適化問題としての定式化及び効率的なアルゴリズムの構築という立場から研究を進める.さらに手法の一般化を行うことで,ネットワーク問題にとどまらない一般の離散最適化題への貢献を目指す.初年度に得られた主な結果は以下の通りである. ・グラフの(p,q)-全ラベリング問題は, 距離制約を考慮したグラフの点と辺へのラベル付 け問題の一つであり,無線通信ネットワーク設計に応用がある. この問題に対し,入力グラフが外平面的グラフ, p = 2, q = 1 の場合,グラフの構造解析を行うことで最適ラベル数のタイトな上界を示した.これは, 2007 年に提示されたD. Chen と W. Wang の予想を肯定的に示したものである.また,入力グラフが木かつ q ≦ p ≦ 3q/2 の場合,問題が多項式時間で解けることを示した.これは,(p,q)-全ラベリングの問題の一つの拡張である L(p,q)-ラベリング問題が q が p の約数でない全ての (p,q) に対し NP困難であることと対照的である.そのほか,全ての (p,q) に対し,最適ラベル数のタイトな上界と下界を示した.木以外にも s-退化グラフ, 平面グラフ,直並列グラフなど,いくつかの特別なグラフクラスの問題に対し,最適なラベル数の新しい上界と下界を示した.
|