研究課題/領域番号 |
24700007
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
竹田 晃人 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (70397040)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 圧縮センシング |
研究概要 |
当年度の研究実施計画内容として圧縮センシングにおける高速な疎データ復元アルゴリズムの理論研究および開発があり、その計画に基づき実際にアルゴリズムの研究を行ってきた。 当年度の目標の1つとしてDonoho・Maleki・Montanariにより開発された高速データ再構成アルゴリズム(Approximate Message Passingと呼ばれるもの)がL1最適化アルゴリズムと同等の性能を示す理由を理論的に探るという課題があったが、本年度の研究でそれに1つの答えを見出すことが出来た。次にこの理論的考察の成果を基にかなり汎用性の高い疎データ復元アルゴリズムの構築法を提示した。加えて計算機実験により提案した復元アルゴリズムの性能評価を行い理論的な限界に近い性能を示すことを確かめた。ただ提案したアルゴリズムにはまだ自由に選べるパラメータ等が残っており、これをどのように最適化するかの研究が次年度以降に残された研究課題の1つとなる。 以上の研究成果を様々な会合において公表した。日本物理学会・機械学習分野の研究会・情報理論分野の研究会等である。その他に本研究課題の対象分野である圧縮センシングの研究会において講演を依頼され、上記研究成果に関する講演を行った。また国内の会議(情報処理・画像処理分野)において招待講演を依頼され、圧縮センシングに関する理論の解説講演を行った。 加えて関連分野の研究者を招聘したり逆に訪問する等し、今後の研究の為の議論や情報交換を行うことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当年度の目標であったDonoho・Maleki・Montanariにより開発された高速データ再構成アルゴリズムの理論的背景を探る試みについて一定の成果が得られている。その他にL1最適化アルゴリズムの計算複雑性に関する理論解析を行う計画もあったがこちらも現在進行中である。全体としてはおおむね研究計画は順調に消化されているとみなせる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は圧縮センシングの高速データ再構成アルゴリズムについて、提案したアルゴリズムの汎用性を高めるべくアルゴリズム中のパラメータ等を最適化する研究を推進する。それと共にL1最適化アルゴリズムの計算複雑性に関する理論解析を進め、さらに次年度の研究課題であるLp(p<1)ノルムを利用した場合のアルゴリズムの計算複雑性に関する統計物理学的手法を用いた理論解析も進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度(H24年度)は研究推進に必要なコンピュータ・ソフトウェア等の購入を予定していたが、研究代表者が次年度4/1付で所属機関を異動し個人の研究室を立ち上げる事情により、次年度(H25年度)に研究室立ち上げに関する大きい出費が予想された。その為にH24年度の計画における物品購入を次年度分に回したため残額が発生した。 発生した残額は、上記の通り次年度研究室立ち上げの為の(コンピュータ・プリンタ・ソフトウェア購入等の)原資とする予定である。
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