研究課題/領域番号 |
24700008
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
岡本 吉央 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (00402660)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アルゴリズム / 計算理論 / 離散数学 |
研究概要 |
厳密な理論保証を持つアルゴリズム設計理論,および,計算複雑性理論に関して以下に記載するものを含めて多くの成果を得た. (1) 「厳密計算の費やす資源に対する信頼性評価」に関して, (a) 指数時間計算困難性に関して,充足可能性問題,集合分割問題,集合被覆問題,部分集合和問題,シュタイナー木問題など,種々の問題の相互関係を明らかにし,厳密計算理論における強指数時間仮説に対する分野を開拓した.(b) 厳密計算において特定のグラフクラスを考えることは有効であるが,グラフに対する操作に対して,グラフクラスが閉じているかどうかはアルゴリズム設計において重要である.その観点から,二部グラフに対する二部冪という操作に対する研究を行い,置換二部グラフおよび区間二部グラフというグラフクラスが二部冪の操作に関して閉じていることを証明した. (2) 「信頼性の低い計算構成要素を用いて信頼性の高い計算結果を得るアルゴリズム設計理論」に関して、信頼性の低い比較を用いて,最大値を最小値を同時に発見する問題に対して,必ず正しい結果を出力するアルゴリズムを開発した.また,従来提案されていたアルゴリズムに比べて,必要とする比較回数を大幅に削減した. (3) 「頑健な厳密計算アルゴリズム設計技法とその現実的計算量解析手法の発展」に関して,(a) 幾何学的制約を持つ最大一意被覆問題に対して,厳密な理論保証を持つ多項式時間近似アルゴリズムを設計した.特に,軸平行単位正方形に対しては相対誤差が任意のεとできるアルゴリズムを設計し、単位円に対しては相対誤差がおよそ3となるアルゴリズムを設計した.(b) 不完全データから系統樹を復元する問題に対して,その候補解を漏れなく厳密に列挙する高速アルゴリズムを設計した.また,計算機実験において,提案アルゴリズムが素朴なアルゴリズムよりも大きなデータを処理できることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究の目的」に記載した3つのテーマ「厳密計算の費やす資源に対する信頼性評価」,「信頼性の低い計算構成要素を用いて信頼性の高い計算結果を得るアルゴリズム設計理論」,「頑健な厳密計算アルゴリズム設計技法とその現実的計算量解析手法の発展」のすべてに関して進展を得て,その結果を国際学会において発表した.
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今後の研究の推進方策 |
前年度の成果を踏まえて,「研究の目的」に記載した3つのテーマに取り組む. そのために,最新の研究成果の調査,専門的知識の入手,および,研究会参加による意見・情報交換を行う.また,研究によって得られたアルゴリズムの有効性を検証するために計算機実験を行ない,理論にフィードバックする. 研究の過程で得られた理論的成果,実験結果に関する情報交換を行なうために,国内外の研究会等で発表する.
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次年度の研究費の使用計画 |
設備備品費:研究成果の調査,専門的知識の入手,計算機実験の実施のために関係図書・計算機を購入する. 旅費:研究会参加による意見・情報交換,研究発表のために旅費を使用する. 謝金:計算機実験の実施のためのプログラム作成補助に謝金を使用する.
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