研究概要 |
研究実施計画に従い, 「鍵付き準同型暗号」を提案し, 国際会議「6th International Conference on Practice and Theory in Public-Key Cryptography, PKC2013」に論文「Chosen Ciphertext Secure Keyed-Homomorphic Public-Key Encryption」を投稿, 採録された. 鍵付き準同型暗号とは, 暗号文の復号はできないが準同型性を作用可能な(復号鍵DKとは異なる) 秘密鍵HKを生成することで, 準同型性を利用可能なユーザを適切に制御する公開鍵暗号である. (クラウド環境で想定される準同型暗号の最も一般的なアプリケーションである) データベースに保管された暗号化データを復号することなく更新するシステムにおいて, もし任意のユーザが暗号文を更新可能であれば, い つ/どのように/誰が/暗号文を修正したのかを正確に把握することは極めて困難であるといえる. 提案した鍵付き準同型暗号はこの問題を解決する根本的な方式として期待される. 本研究が採録された国際会議PKCは国際暗号学会IACR (International Association for Cryptologic Research) が主催する会議の一つであり, その中でも本研究で扱うトピックである公開鍵暗号技術に特化した会議である. IACRは暗号業界で最も権威ある団体であり, 毎年著名な研究者が競い合うようにPKCに論文投稿を行っている. このことから, 本研究の意義・重要性が国際的に認められた証拠として, PKCでの論文採録は非常に大きな意味を持つと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
「平成25年度の研究実施計画」において, 目標を「鍵付き準同型暗号を用いた具体的なアプリケーションを構成すること」と設定した. 具体的に「既存の準同型暗号のアプリケーションに対し, 安全性の強化及び効率性の向上を鍵付き準同型暗号を利用することで達成する」とした. 本計画に従い, まず既存の準同型暗号のアプリケーションのサーベイを行い, 鍵付き準同型暗号の適用先を模索し, その後鍵付き準同型暗号の適用における安全性の強化及び効率性の向上を確認する.
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