研究実績の概要 |
本年度は, 初年度に得た成果 (国際会議Public Key Cryptgraphy, PKC 2013採録) 及びその修正版 (プレプリントサーバに公開) のジャーナルバージョンの作成に向けて, 提案方式 (鍵付き準同型暗号) の考え方をIDベース暗号に応用し, 鍵付き準同型IDベース暗号を提案した. 鍵付き準同型暗号とは, 通常の公開鍵/秘密鍵に加え準同型作用鍵を定義し, 準同型演算が可能なユーザを制限することで準同型作用鍵を持たない攻撃者に対する適応的選択暗号文攻撃に対する識別不可能性 (Indistinguishability against adaptive Chosen-Ciphertext Attack, CCA) 及び準同型性を同時に達成する公開鍵暗号方式である. IDベース暗号は任意の値を公開鍵として扱うことが可能な暗号方式であり, 鍵付き準同型IDベース暗号では, 同じIDに対して作成された暗号文に対し, 準同型作用鍵を用いることで準同型演算 (乗法) を行うことができ, 準同型作用鍵を持たないユーザに対してはCCA安全性を保証する. 本成果を暗号と情報セキュリティシンポジウム (SCIS) 2015で発表した (2015/01/22). また, 本成果を加えたこれまでの成果をマージしたジャーナルバージョンを作成中であり, 本研究の最終成果として最終年度内に投稿予定である.
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