研究概要 |
本研究では、アルゴリズム理論と計算量理論の双方に現れる劣加法構造に着目し、その構造的性質を探索していくことを目的として研究活動を推進してきた。これにより、算法と計算量という統合的な枠組みの中で計算理論に対する新たな潮流を創成することを目指している。 本年度の実績として、まず本研究計画の構想の根幹となる論文がTheoretical Computer Scienceに掲載された。この成果は、Karchmer, Kushilevitz, and Nisan (1995)により開発された線形計画法を利用した論理式サイズ下界の証明法を拡張することで多数決関数などの基本的な関数に対して下界値を改良するものである。Hrubes, Jukna, Kulikov, and Pudlak (2010)による研究で、この手法は加法的な構造を有し包括的な限界が存在することが論じられていた。これに対して、新たに掲載された論文成果において加法性を越える劣加法的な線形空間の探索手法を提案することができている。 他の成果に関しても以下で述べるように国内外の学会にて発表を行うことができた。超二次論理式サイズへ向けた候補となる論理関数に関して考察を与えた研究成果に関しては、電子情報通信学会のコンピュテーション研究会において発表を行った。3ビット多数決関数の合成から構成される論理式の複雑さに関して解析を行った研究成果に関しては、国際会議COCOON2012に採択され発表を行った。 これに加えて、種々ある劣加法性に関連する研究対象の中から非負階数に関する研究に焦点を絞りこみ、関連研究の調査を行った。特に、行列が0,1のみから構成される二進行列に対して解析を与えた。
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