論理を拡張した場合に、元のストーン型双対性から拡張後のストーン型双対性を構成できるか、ということを明らかにすることが本研究の目的である。 平成24年度は、ストーン型双対性の前段階として、表現定理の一般形について分析を試み、既存の表現定理の修正を行った。具体的には、積の単位元を恒等関係で表現でき、順序を包含関係で表現できるような、クウォンテールの関係表現定理を与えた。また、その類似例として、完備べき等左半環を二項多重関係で表現する表現定理を与えた。 平成25年度には、一つのストーン型双対性から別のストーン型双対性を導く構成を与えるという最終目的の前段階として、一つの随伴から別の随伴を導く構成を明らかにすることを目標とした。その結果、半束の圏と完備束の圏の間の随伴から、べき等半環の圏とクウォンテールの圏の間の随伴を生成する構成を明らかにできた。さらにそれを一般化し、T代数上の半束の圏とT代数上の完備束の圏の間の随伴を与える構成も与えた。 平成26年度には、すでに知られている modal algebra と descriptive general frame の間のストーン型双対性を参考に、Kripke frame との間にストーン型双対性を持つような代数について調査した。その結果、complete atomic modal algebra で modal operator が(有限とは限らない)任意の上限を保つもの、がそのような代数であることがわかった。ただし、圏を考えるときの射は、任意の上限と任意の下限を保つ準同型とした。 本研究のアプローチは、異なる真偽値からなる多値論理どうしを比較できるものでなければならないため、平成27年度には、これまで研究してきた多重関係という概念を2値論理版から多値論理版に拡張し、多値多重関係という概念を定義した。これにより多様な論理の間の比較をする基盤を構築できたと言える。
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