研究課題/領域番号 |
24700019
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
森畑 明昌 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (10582257)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 並列計算 / XML処理 |
研究概要 |
まず、XML変換を並列計算するための基礎理論として、木変換器の並列計算に関して興味深い結果が得られた。既存研究ではコピーを行わない木変換器しか扱うことができていなかったが、本研究によってコピーを行うような木変換器も現実的な時間で並列計算が可能であることが分かった。この結果に関連して、ソフトウェア科学会の大会や国際ワークショップTTATT等で発表を行い、高橋奨励賞を受賞するなど高い評価を受けた。 また、本研究の副作用として、XML変換に限らない、様々な計算の並列化に関する基礎的な成果が得られた。1つは、二次元領域から特定の大きさの興味深い矩形領域を発見する問題に対する並列アルゴリズムである。このような問題の広い範囲に対して、効率良い並列アルゴリズムを始めて与えることに成功した。この結果は、IFIP working group 2.1のミーティングで報告した。また、より一般に、関数が分割統治計算可能である十分条件を多相型を用いて定式化する試みも行った。この結果はPPLワークショップで発表を行った。 これらの結果は、XML変換を並列に効率良く処理することに繋がりうるばかりではなく、より一般に、関数プログラムの並列評価法を確立する基礎研究に繋がりうるという点で大きな意義がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
XML変換を並列計算するための基礎理論としての木変換器の取り扱いについては、実際に具体的な成果が得られた。この結果は高橋奨励賞を受賞するなど高い評価を受けた。初年度に行う予定であったもう一つの課題である、XPathクエリの並列評価に関しては、本年度中に結果を得ることはできなかった。この点は次年度の課題である。この代わり、本研究の副作用として、広い範囲の計算の並列化に関する基礎的な成果が多く得られている。これらを総合すると、広い意味での研究目標に対してはそれなりに順調に結果が出ていると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
事前の計画に従って、さらに研究を推進する。具体的な課題としては、XPathクエリの取り扱い、及び純粋な木変換以外の計算の取り扱いが挙げられる。まずは、前年度のつみのこしであるXPathクエリの取り扱いを研究するつもりである。なお、これらに関しては、現状、事前に想定された以上の問題点は見つかっていない。 また、今年度に得られた成果は残念ながら査読つきの論文として公表するに至っていない。この点も本年度の課題である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
おおむね事前の計画通りに行う。すなわち、情報収集及び成果発表の旅費が主な支出となる。特に、成果発表は本年度では特に重要である。
|