研究課題/領域番号 |
24700019
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森畑 明昌 東京大学, 大学院総合文化研究科, 講師 (10582257)
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キーワード | XML / 分散並列評価 / プログラミング言語 |
研究概要 |
本研究の目的は並列分散XML処理のためのプログラミング言語を与えることである。この言語で記述されたプログラムは、漸近的にプロセッサ数に比例する並列速度向上が保証される。そのため、効率の良い並列XML処理が単に変換を記述するだけで達成できる。 本年度の主な成果は以下の通りである。 まず、XML変換の中核を成すXPath問い合わせの並列分散評価についての新しい成果を得た。この部分に関しては計画段階では既存の結果を利用する予定であった。しかし、既存手法を精査した結果、これらで提示されている計算量は一部間違いを含んでおり、入力によっては非常に遅くなることを発見した。さらに、既存手法に比して計算量の観点から良い性質をもつ並列分散XPath問い合わせ手法を提案した。この結果は日本ソフトウェア科学会大会にて発表を行った。 次に、本研究の基盤となっている並列化手法が、理論上も実用上も当初の想定より遥かに広い適用範囲をもつことを発見した。理論的には、第三リスト準同型定理と呼ばれる並列化定理が、様々なデータ構造上の並列計算を含む抽象的な形式で定式が出来ることを示した。この結果は関数型言語に関する世界のトップ会議であるACM ICFPに採択された。また、実用上は、同様の手法がXML変換だけではなくコンパイラのデータフロー解析や漸増計算にも応用できることを示した。これらの結果はそれぞれ、日本ソフトウェア科学会大会およびプログラミングおよびプログラミング言語ワークショップで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
XML処理に関しては、XPath問い合わせで既存手法が使えなかったなどの見込み違いからやや進捗が遅れている。その代わり、XML処理以外の領域への波及的な研究成果は豊富に得られつつある。以上のことから、総じて見れば研究は順調に進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの2年間で、XML変換の中核として、木変換、およびXPath問い合わせについては結果が得られている。最後の1年間は、最後のピースである簡単な補助的な計算、例えば数値計算等について並列計算手法を与えることを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
想定に比べ、国際会議での論文採択数がやや少なかったためである。 次年度は最終年度であるため、論文の出版や国際会議での発表等を中心に使用する予定である。
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