研究課題
本研究の目標は並列XML処理のためのプログラミング言語を与えることである。すなわち、その言語で記述されたプログラムは、漸近的にプロセッサ数に比例する並列速度向上が保証されるようなプログラミング言語を与えることである。この目標に向け、本年度には主に以下の2点の成果が得られた。まず、XMLのような比較的平坦で子供の数の多い木構造に対する並列処理には、既存の木構造並列処理手法である並列木縮約がそれほどうまく働かないことが知られていた。この問題に対し、このようなケースも扱うことができる並列木縮約手法を与え、これと既存並列木縮約手法との関係と理論的に明らかにした。この結果は学術雑誌IPSJ Transaction on Programmingに採録された。また、本研究で発展させてきた並列化の理論はプログラムのデータフロー解析にも応用でき、これによりシンプルで実用的な並列データフロー解析が実現できることを示した。この結果は、これまでの研究がXML処理に特化したものではない、一般的なものであるという一つの根拠となる。この成果は国際会議APLAS2014に採択された。研究期間全体の結果として、当初の目標であった並列XML処理言語を具体的に与えるには至らなかった。しかし、並列木構造処理の基礎理論について、特にマクロ木変換器の取り扱いや、子供の多い木に対する並列木縮約などを明らかにし、その上、関数型言語一般に対する分割統治並列計算への基礎理論や、データフロー解析の並列化など、XML処理にとどまらない成果も得られている。総体としては良い研究成果が得られたと言える。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
IPSJ Transaction on Programming
巻: 7(5) ページ: 1-9
Programming Languages and Systems - 12th Asian Symposium, APLAS 2014, Proceedings (Lecture Notes in Computer Science)
巻: 8858 ページ: 392-407
10.1007/978-3-319-12736-1_21