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2014 年度 実施状況報告書

スループット予測に基づいて複製配置を行う広域分散アーカイバルストレージ

研究課題

研究課題/領域番号 24700031
研究機関筑波大学

研究代表者

阿部 洋丈  筑波大学, システム情報系, 准教授 (00456716)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード分散システム / データ転送 / スループット予測 / マルチパス / カオス
研究実績の概要

本年度は、当初の計画を越えた成果に結びつつある、データ転送スループットに関する研究にさらに注力した。具体的には、以前から研究開発を進めてきた、機械学習を利用したスループット予測技術のマルチパスTCPへの適用と、TCP スループットの変動現象に対するカオス理論に基づいた分析の2点である。
前者に関しては、これまでは単独の TCP フロー向けに開発してきた技術を、Apple 社の iPhone に採用されたことで注目を集めているマルチパス TCP (MPTCP) へ適用する研究を行った。その結果、既存の技術をそのまま適用した場合にはそれぞれのパスに流れるデータ料にアンバランスが生じ正しく予測ができないことが判明した。そこで本研究ではそれぞれのパスに対してあらかじめ学習データの収集を実施し、3次元以上の多次元空間上での機械学習による回帰問題としてスループット予測を実現する方法を開発した。
後者に関しては、これまでのプローブに基づいた予測方法とは別の手法の模索として、カオス理論に基づいた手法を模索するための基礎的なシミュレーション実験を実施した。これまでの手法は、事前に多数のデータ転送を実施して履歴を収集する必要があり、新規のパスに対して即時に適用することはできない。そこで、TCPの輻輳回避アルゴリズムが示すカオス性を利用することで新たなスループット予測の手法確立をめざしている。今年度は、bifurcation の発生とスループットの変動に相関があること、また、主成分分析を用いることでスループットの変動に一定の法則性が現れる場合があることを発見した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

今年度は機械学習によるスループット予測実験を実施するためのテスト環境の構築を予定していたが、年度途中に NTT からリリースされた高性能ソフトウェアスイッチである Lagopus の登場を受け、Open vSwitch に基づいた設計から Lagopus に基づいた設計への変更を行った。しかし、Lagopus の動作環境の検証と対応部品の調達に予想以上の時間を要し、年度内に実験を完了することができなかった。そのため、予算の繰越を申請し、平成27年度中の実験完了および成果発表を目指している。

今後の研究の推進方策

現在は、Lagopus と OpenFlow を組み合わせた実験環境の構築と検証を急ピッチで進めている。実験環境の構築が完了し次第、今年度に開発したMPTCP転送のスループット予測技術の包括的な評価を実施し、その成果をまとめる。

次年度使用額が生じた理由

高性能に動作するソフトウェアのリリースを受けてスループット予測実験環境の設計を変更した結果、ソフトウェア動作環境の検証と部品の調達に時間を要し、実験を完了させることができなかったため。

次年度使用額の使用計画

実験の実施に必要な消耗品の購入、および、その研究成果の公表のための学会参加旅費等として使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Dynamic homeostasis in packet switching networks2015

    • 著者名/発表者名
      Mizuki Oka, Hirotake Abe and Takashi Ikegami
    • 雑誌名

      Adaptive Behavior

      巻: 23 ページ: 50-63

    • DOI

      10.1177/1059712314556369

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-06-01  

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