研究課題/領域番号 |
24700035
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
安積 卓也 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (40582036)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ソフトウェア開発効率化 / 計算機システム / 情報システム |
研究概要 |
近年、介護、工場内の作業補助、危険地帯の作業など人に代わって作業を行う目的で、サービスロボットの必要性は、日に日に高まっている。ロボット向けのプラットフォームとして、産業技術総合研究所を中心に策定したRTC(Robot Technology Component)の標準仕様がOMGにおいて、国際標準として採用されている。RTCは、動的結合(実行時に構成を変更できる)をベースとしたコンポーネントある。そのため、動的な構成変更により、不確定な動作や予期しない動作をする可能性があり、安全性に問題がある。一般的に安全に関わる部分のソフトウェアは、μITRONなどのリアルタイムOSを利用し、リアルタイム性を保証する。 本研究の目的は、組込みシステム向けコンポーネントシステムであるTECSのコンポーネントとRTCを連携させることにより、安全でリソース消費量を抑えたプラットフォームを実現することである。 平成24年度は、まず、RTCとTECSのコンポーネント(以下、TECS-Cと略す)のインタフェース定義の検討を行った。RTCは、データポートとサービスポートの2種類のインタフェースを持っている。データポートは、画像、音声、文字などのデータ通信ためのインタフェースであり、サービスポートは、カメラ操作など、他のコンポーネントの機能(関数)を呼び出すためのインタフェースである。本年度は、サービスポートを用いたRTCからTECS-Cの呼出しを実現した。TECS-Cの動作環境は、これまでの申請者らの研究成果であるARMの命令セットシミュレータ、RTCの動作環境は産業技術総合研究所から提供されているシミュレータを用いて動作確認を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RTCとTECSの通信には、TECSのRPC機構を応用することで実現した。具体的には、RPC機構のサーバ、アンマーシャラをTECS側で実現し、クライアントをRTC側として実現する。RTCから関数呼出しを行った場合、まず、クライアント側マーシャラでは、関数情報を、関数IDや各引数に分解する。分解されたデータを通信用のコンポーネントに送る。一方、TECS-C側では、アンマーシャラが、RTC側から送られて来た関数ID、引数情報を受け取り、アンマーシャラの目的の関数呼出しを行う。その他下記のコンポーネントがRPC機構に含まれる。データ表現コンポーネントは、データサイズなどを調節するコンポーネントである。チャネルは、組込み機器側の通信を管理するコンポーネントである。タスクコンポーネントは、μITRONベースのリアルタイムOSのタスクであり、アンマーシャラを起動する。 実機上での動作確認をする必要はあるが、上記の設計・実装は、シミュレータ上で動作確認できており、大旨研究計画どおり進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
現状は、シミュレーション環境上での動作確認しかできておらず、本研究の実用性を示すには、組込み機器実機で動作させる必要がある。そのため、平成25年度のなるべく早い時期に実機での動作確認をする予定である。さらに、RTC-TECSの通信にデータポートを用いるために、RTCのデータポートを拡張する必要がある。RTCの仕様策定者の一人である、産業技術総合研究所の安藤氏とデータポートの拡張について協議する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、シミュレータ上での研究開発を行ったため、実機での動作確認で利用する予定であった謝金を利用しなかった。平成25年度は、実機を用いたRTC-TECS間の通信を実現する予定であるため、実機での動作確認に必要な機器の購入や謝金(実機動作確認・テスト)で利用する予定である。さらに、研究成果を国際会議等で発表する予定である。
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