研究課題/領域番号 |
24700035
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
安積 卓也 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (40582036)
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キーワード | ロボット / コンポーネントベース開発 / 組込みシステム |
研究概要 |
近年、介護、工場内の作業補助、危険地帯の作業など人に代わって作業を行う目的で、サービスロボットの必要性は、日に日に高まっている。ロボット向けのプラットフォームとして、産業技術総合研究所を中心に策定したRTC(Robot Technology Component)の標準仕様がOMGにおいて、国際標準として採用されている。RTCは、動的結合(実行時に構成を変更できる)をベースとしたコンポーネント(ソフトウェア部品)である。そのため、動的な構成変更により、不確定な動作や予期しない動作をする可能性があり、安全性に問題がある。一般的に安全に関わる部分のソフトウェアは、μITRONなどのリアルタイムOSを利用し、リアルタイム性を保証する。 本研究の目的は、組込みシステム向けコンポーネントシステムであるTECSのコンポーネント(TECS-C)とRTCを連携させることにより、安全でリソース消費量を抑えたプラットフォームを実現することである。 上記の目的を実現するために、平成25年度は、サービスポート及びデータポートを用いたTECS-CからRTCの呼出しを実現した(サービスポートを用いたRTCからTECS-Cの呼出しは、既に昨年度実現している)。RTCはデータポートとサービスポートの2種類のインタフェースを持っている。データポートは、画像、音声、文字などのデータ通信ためのインタフェースであり、サービスポートは、カメラ操作など、他のコンポーネントの機能(関数)を呼び出すためのインタフェースである。さらに、昨年度シミュレーション環境上で実現したサービスポートを用いたRTCからTECS-Cの呼出しを実機環境での動作確認を行った。TECS-Cの動作環境は、H8/3069プロセッサ を搭載したボード、RTCの動作環境は、ARMプロセッサを搭載したRaspberry Pi上でそれぞれ動作確認を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TECS-CからRTCのサービスポートの呼出しの実現を行った。昨年度実現したRTCからTECS-CとのRPC (Remote Procedure Call) 機構のサーバとクライアントを入れ替えた構成になっている。具体的には、RPC機構のサーバ、アンマーシャラをRTC側で実現し、クライアントをTECS側として実現する。TECSから関数呼出しを行った場合、まず、クライアント側マーシャラでは、関数情報を、関数IDや各引数に分解する。分解されたデータを通信用のコンポーネントに送る。一方、RTC側では、アンマーシャラが、TECS-C側から送られて来た関数ID、引数情報を受け取り、アンマーシャラの目的の関数呼出しを行う。その他下記のコンポーネントがRPC機構に含まれる。データ表現コンポーネントは、データサイズなどを調節するコンポーネントである。チャネルは、組込み機器側の通信を管理するコンポーネントである。 平成25年度と平成26年度の予定の一部を入れ替えているが、全体の進捗としては、大旨研究計画どおり進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に予定していたTCP/IPを用いた通信の一部と平成25年度に予定していた無線シリアル通信予定を入れ替えた。本年度は、まずシリアル通信で行うための、準備として、センサノードで動作させるリアルタイムOSとしてμITRONの最小セットカーネルであるSSPを動作させる予定である。無線シリアル通信としては、ZigBeeを利用しセンサノード(TECS-C)とRTCの通信を実機上で実現する予定である。 平成25年度の予算は、大旨予定通り利用している。平成26年度は、実機を用いたRTC-TECS間のシリアル通信を実現する予定であるため、実機での動作確認に必要な機器の購入する予定である。さらに、研究成果を国際会議などで発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
一部の旅費申請で宿泊費を申請していないため、1,687円の残高があるが、平成25年度の予算は、大旨予定通り利用している。 平成26年度は、実機を用いたRTC-TECS間のシリアル通信を実現する予定であるため、実機での動作確認に必要な機器の購入する予定である。さらに、研究成果を国際会議などで発表する予定である。
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