近年、介護、工場内の作業補助、危険地帯の作業など人に代わって作業を行う目的で、サービスロボットの必要性は、日に日に高まっている。ロボット向けのプラットフォームとして、産業技術総合研究所を中心に策定したRTC(Robot Technology Component)の標準仕様が、国際標準として採用されている。RTCは、動的結合(実行時に構成を変更可)をベースとしたコンポーネント(ソフトウェア部品)である。そのため、動的な構成変更により、不確定な動作や予期しない動作をする可能性があり、安全性に問題がある。一般的に安全に関わる部分のソフトウェアは、μITRONなどのリアルタイムOSを利用しリアルタイム性を保証する。 本研究の目的は、組込みシステム向けコンポーネントシステムであるTECSのコンポーネント(TECS-C)とRTCを連携させることにより、安全でリソース消費量を抑えたプラットフォームを実現することである。 RTCは、データポートとサービスポートの2種類のインタフェースを持っている。データポートは、画像、文字などのデータ通信ためのインタフェースであり、サービスポートは、カメラ操作など他のコンポーネントの機能(関数)を呼び出すためのインタフェースである。平成24~25年度は、TCP/IP通信を介したRTCからTECS-Cの呼出し(サービスポート)、及びシリアル通信を介したTECS-CからRTCの呼び出し(データポート)の動作確認を行った。 さらに、平成26年度は、サービスポートを用いたRTCからTECS-Cの呼出しを、リアルタイム性の厳しいアプリケーションでの検証を行った。具体的には、ブラシレスモータ制御(ブラシありの普通のモータより、時間制約が厳しい)に本提案プラットフォームを適用(通信にはシリアル通信を利用)することで、リアルタイム性を守り動作できることを確認した。
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