研究課題/領域番号 |
24700036
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
桑原 寛明 立命館大学, 情報理工学部, 講師 (30432222)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ソフトウェア工学 / 情報流解析 / 型システム / 型エラースライシング / ソフトウェア開発支援 |
研究概要 |
既に提案済みである手続き型言語向け情報流解析を対象とする型エラースライシング手法の正当性の証明を行った。ここで、正当であるとは型エラースライシングの適用前後で情報流解析の結果が変化しないことを表している。これにより、提案する型エラースライシング手法が情報流解析に対して望ましくない影響を与えないことが保証され、安心して手法を活用することができる。本研究の目的である機密データを漏洩しない安全なソフトウェアの開発支援を実現するためには、適用する手法が異常な結果を生成して開発者を混乱させることがないようにする必要があり、今回得られた結果は重要である。 提案手法を実現するツールの開発に向けて、プログラム解析の基盤環境の構築を開始した。本研究では、将来的にJava言語のフルセットを対象とすることを目指しているため、プログラム解析基盤についてもJava言語のフルセットが扱えるように設計を行った。プログラム解析の一般的な基礎である字句解析、構文解析、意味解析の結果を中間データとして保存することで、本研究の主要な技術である情報流解析と型エラースライシングの実装を行いやすくしている。 また、開発者がソフトウェア開発環境上で行った操作の履歴も有用な情報である。そのため、蓄積された操作履歴を加工して情報を抽出するための基盤環境の構築も進め、操作履歴のフィルタリング、編集操作の融合、操作履歴のグループ化などの技術を実現し評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
提案手法の正当性に対して数学的な証明を与える必要があった。証明を与えることには成功したが、予想していた通り困難であり長期間を要した。証明に注力した結果として、計画していた他の項目の進捗がやや遅れることになった。しかし、進捗が極端に送れているわけではなく、遅れている分を回復することは可能であると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
課題ははっきりしているため、研究実施計画に沿って研究を推進する。ただし、研究の中で数学的な証明を行う必要があり、その点が研究の進捗状況に大きな影響を与える可能性が高いことがわかった。そのため、場合によっては、証明は概略のみにとどめて他の研究項目に注力する、定理証明器などの証明を支援する手法を取り入れる、などの対応を取ることを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究打ち合わせのために予定していた出張があったが、スケジュールが調整できず一度キャンセルになった。そのために次年度使用額が発生した。当該研究費を含む研究費については、主に研究発表あるいは研究打ち合わせのための出張旅費および物品費に充てる計画である。特に物品費について、本研究では提案手法に基づくソフトウェア開発環境の開発を目的の一つとしており、その開発を推進するための高性能計算機の購入を予定している。
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