研究課題/領域番号 |
24700046
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
矢崎 俊志 電気通信大学, 情報基盤センター, 助教 (60454138)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 並列計算 / 通信シミュレータ |
研究概要 |
本年度は,研究課題である高精度で軽量なバック・アノテーション型並列計算機用通信シミュレータの開発を行うにあたり,バック・アノテートに用いるネットワーク機器の物理特性を測定するためのネットワーク機器およびその構成方法に関する調査・実装を行った.また,シミュレータの評価に用いる全対全通信アルゴリズムを開発し,比較対象となる既存シミュレータの予備評価を行った. ネットワーク機器およびその構成方法に関する調査・実装については,既に所有する小規模PCクラスタの計算ノードに対して必要な設定を行った.また,これの試験を行った.現在,小規模PCクラスタのネットワーク部分については,機器調達の都合上,通常のインターネットで用いられている TCP/IP を用いている.次年度の計画として,これを本課題が対象とするクラスタ用ネットワーク InfiniBand に置き換えるが,そのために調達が必要な機器の調査・選定および構成法についての検討行った. 本課題で作成中のシミュレータを評価するためには,並列アプリケーションでよく使われいてる典型的な通信パターンを用いる必要がある.また,シミュレータ自体の性能を比較をするためには,その通信パターンを他のシミュレータでも評価しておく必要がある.本課題では,この通信パターンとしてFFTなどの重要なアプリケーションに用いられている全対全通信を用いる.またその通信アルゴリズムについても,独自に開発した通信効率の良いアルゴリズムを用いる.比較対象となる既存シミュレータで予備評価を行い,結果を国際会議 ISPA2012 で発表した.初年度中に,評価方法を確立したことにより,次年度以降,シミュレータ開発後の評価を速やかに行うことができる環境が整った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本来の計画では,初年度に機器の調達を行いネットワークの実機を用いた実験を開始する予定であった.しかし,本計画の成果をより有意義にするために必要な機器の調達が,メーカのリリース・スケジュールの関係で遅れたため,必要な実験が実施できなかった.代わりとして本年度は,初年度の計画に無かったシミュレータの評価に必要な環境の整備を行った.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,まず,初年度に実施を予定していた実験用ネットワークの構築を優先的に行う.既に初年度の段階で必要な情報収集は終了しているため,この情報を元に,速やかな調達を行う.調達したネットワーク機器を,同じく昨年度に設定が完了してる小規模PCクラスタに組み込み,設定調整などを行い,実験環境を構築する. 本計画で開発中のシミュレータの実装を完了させ,初年度にすでに発表されている評価対象とする全対全通信アルゴリズムを用いた評価を行う.また,その結果を,同じく初年度に国際会議で発表した結果と比較し,提案シミュレータの優位性を評価する. 評価結果を国際会議および学術論文誌で発表する.
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次年度の研究費の使用計画 |
実験に必要な小規模PCクラスタに組み込むネットワーク機器を購入する.本来は初年度で購入する計画であったが,本計画の成果をより有意義にするために必要な機材のリリースを待つ必要があったため,その分の研究費を初年度より次年度に繰り越した.
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