研究課題/領域番号 |
24700056
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研究機関 | 呉工業高等専門学校 |
研究代表者 |
吉川 祐樹 呉工業高等専門学校, 機械工学分野, 講師 (50453212)
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キーワード | LSIのテスト / LSIの高信頼設計 / 遅延故障のテスト / 高位合成 |
研究概要 |
近年の高速に動作するLSIは遅延故障(信号の伝搬が遅れ誤動作する故障)による不良チップが増加しており,製造チップの市場不良率の抑制や製造コスト削減の観点から,遅延故障に対する高品質かつ低コストなテスト技術の開発は産業界で重要な課題となっている.本研究では,通常動作に加えて設計の上位段階から遅延故障のテスト容易性を考慮した高位合成を提案することを目的としている. 採択期間の2年目となる2013年度は,申請書の研究計画に記載したとおり,高位合成の中で各演算をどの時刻で実行するのかを決めるスケジューリングに着目し,パス遅延テスト容易性を考慮したスケジューリング方法の提案を行った.この研究は研究室の学生の卒業研究テーマとし,学生の研究指導も行った.研究成果としては,スケジューリング法の提案と提案手法で回路を合成した場合の有効性(回路面積の最小化)の評価結果である.評価結果からは,提案手法はテスト容易性を保証できるが,回路面積が大きくなる場合も多く,現時点では改良の余地があると感じている.そのため,当初の研究計画よりは延びるが,2014年度はアルゴリズムの改良に取り組む. 2014年度の研究計画では,スケジューリングからバインディングまでの高位合成システムを開発することとしていた.しかし,上述の通りスケジューリングアルゴリズムに改良の余地があること,またパス遅延故障だけでなく遷移故障を対象としたテスト手法も重要であることから,これらについて優先的に研究を行うこととする. 研究発表に関しては,2012年度研究を行ったパス遅延テスト容易性を考慮したバインディング法について,国際学会で発表を行い,現在は論文誌へ投稿している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
採択期間の2年目となる本年は,研究計画どおりパス遅延テスト容易性を考慮したスケジューリングの提案に取り組んだ.アルゴリズムの提案とその評価を行ったところ,合成後の回路面積について改良が必要であり,2014年度も引き続き取り組む.申請書の計画では,2014年度の初旬には国際学会への投稿を予定していたため,計画から少し遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
2014年度の研究計画では,スケジューリングからバインディングまでの高位合成システムを開発することとしていた.しかし,スケジューリングアルゴリズムに改良の余地があることから,引き続き2014年度の前半はアルゴリズムの改良と評価を行う.またパス遅延故障だけでなく遷移故障を対象としたテスト手法も重要であることから,遷移故障を対象としたスケジューリングアルゴリズムの提案を行う.これらについて優先的に研究を行い,その後で高位合成システムの開発に取り組む予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
物品購入に関して2013年度中に必ず購入が必要なものがなかったため次年度に繰り越した. 2014年度の研究に必要な物品および旅費として使用する.
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