高速大容量光通信を可能にする一対多の光回線網であるPON(Passive Optical Network)と、ネットワークへの柔軟なアクセスが可能な無線メッシュネットワーク(WMN: Wireless Mesh Network)の融合体が、次世代のユビキタスブロードバンドネットワークとして世界的な注目を集めている。しかしながら、このPONとWMNの融合ネットワークの1つの特徴である密結合性については、その重要性にもかかわらず研究はこれから始められようとしている状況である。本研究は、この世界的な動きに先駆け、密結合性を利用することによって通信品質の向上が可能であることを明らかにし、その実現に必要となる高度な制御技術を確立することを目的とする。 本年度は、昨年度から継続してを光・無線ネットワークの密結合性を考慮した経路制御技術、トラフィック制御技術、輻輳制御技術の3つのコア技術を連携協調させるための技術開発を行った。まず、3つのコア技術の連携協調技術として、集中制御方式と分散制御方式の特徴や利点を明らかにした。さらに、集中制御と分散制御の特色を活かし制御方式を設計することで、環境に適応してシステム全体の実効スループットを向上できることを確認した。また、ユーザ端末のスリープ制御方式の情報を基に光終端装置を協調制御する手法を提案した。シミュレーションベースの評価実験を行い、通信性能の低下を許容値内に抑えつつユーザ端末の消費電力を著しく低減できることを確認した。この研究成果をまとめた論文は、国際会議にて発表された。
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