研究課題/領域番号 |
24700063
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長谷川 浩 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40323802)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | フォトニックネットワーク / 階層化光パスネットワーク / 波長群パス / Grouped Routing / ネットワーク設計 / ネットワーク制御 |
研究概要 |
本研究の目的としては、波長群パスを導入した階層化光パスネットワークにおいて (i)中途での波長パス集約機能を導入することによる波長群パスの効率向上 (ii)統計情報を用いた波長群パス制御手法の開発 (iii)従来とは概念の異なる新たなノードアーキテクチャの開発 を挙げている。当該年度では、まず(i)(iii)について、波長群パスの概念を発展させ、疎粒度な光通信用の「パイプ」として制御した上でこれに基づくネットワーキングの基礎を築いた。新たなパスアーキテクチャの導入によるインパクトを実証するため、各種代表的なネットワークトポロジ上で波長パスのダイナミックな制御を実施し、従来型アーキテクチャに基づくネットワークとの比較を行った。この結果、疎粒度での通信経路制御を実施することで、ネットワーク全体でのノード装置のハードウェア規模が大きく削減でき、削減率は最大90%弱に達すること、また疎粒度での経路制御を行うことの欠点でもある光ファイバ数の増加についても、これまでの階層化光パスネットワークに比べ、階層化を行わない従来型ネットワークからの増加率を低く抑えることができることを示した。 当該年度の研究の意義と重要性は、本来疎粒度な光通信が最も苦手とし、かつ実用上大きな意味を持つ、動的な波長パス制御のシナリオにおける光ファイバ数の削減という状況においても、新たなネットワークアーキテクチャの導入により、ペナルティは十分少ない一方でノード装置のハードウェア規模が大きく削減できることを示したことにある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要に記したとおり、新たなパスアーキテクチャの導入とそれに適合する新たなアルゴリズムの開発により、これまで不利とされていた状況及び尺度での悪条件下でも、疎粒度の光通信を行うネットワークの実現性を明らかにし、制御アルゴリズムの開発及び数値シミュレーションの実施によるネットワーク全体での必要なハードウェア規模の見積もりを行った。当初は初年度終了時にこれらの課題を部分的に解決することを見込んでいたが、ネットワーク全体でのインパクトの実現と評価という、当初2年間かかると見積もっていたレベルにまで到達しており、さらに別途実施していた高信頼化についてもその制御アルゴリズム開発に本課題の成果がフィードバックされている。以上を鑑みて、当初の計画以上に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
今年度が最終年度であるため、目的の一つである (ii)統計情報を用いた波長群パス制御手法の開発 と、ノード装置のアーキテクチャへの本研究成果のフィードバックを行って、当初設定した研究目標を達成しつつ、さらなる成果の上積みを目指す。特に統計情報を導入した波長群パス制御については、より普遍的な階層化パスの制御に発展させるなど、いわゆるアジリティの達成による、光ファイバ通信網の次世代サービスへの適応性を実現させたい。ノード装置のアーキテクチャについては、部分的なコンポーネントの評価とそれのフィードバックを得ることによるネットワーク全体での評価を通じて、実現性をさらに詳細に評価する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
試算の導入としては、大規模ネットワークにおける階層化パスのシミュレーションを引き続いて実施するため、当該年度に導入した多並列CPU・大容量メモリを搭載した計算サーバと同等のサーバを追加することを想定している。また、実験用の評価装置もしくは光ファイバケーブル等の必要部品を導入する予定である。 旅費およびその他の費用として、国際会議出張及び論文投稿費用を想定している。
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