研究課題/領域番号 |
24700065
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
廣田 悠介 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (20533136)
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キーワード | 全光ネットワーク / 周波数資源割当 / エラスティック光パス / トラヒック予測 / ノードアーキテクチャ / 空間多重 |
研究概要 |
近年、動画像配信などにより通信トラヒックは急増し続けている。超大容量通信を実現するために様々な光ファイバやデバイス技術が発展しつつある。しかし、真に新世代のインフラとしてのネットワークを実現するためには、デバイス技術の発展に加えてネットワークレベルの技術革新も必要不可欠である。本研究は、超大容量全光通信の実現に向けてのシステム制御手法の確立を目指すものであり、その基本的なアプローチとして、ネットワーク資源の競合を回避するための資源割当アルゴリズム、資源予約プロトコル技術を開発する。 今年度は、前年度に明らかにしたエラスティック光パスネットワークにおける周波数軸上の連続性制約などの種々の制約条件を線形計画問題として表現し、ILP(Integer Linear Programming)ソルバを用いて最適解を算出する周波数優先領域設定法を確立した。そして、周波数優先領域設定を用いた周波数割当手法を提案し、その有効性を確認した。 また、超大容量通信を行うためには、1本のシングルコアファイバにおける周波数利用効率の向上に留まらず、空間多重技術も重要であり、国内外での空間多重化に関する研究が活発化してきている。本研究では、空間多重型エラスティック光パスネットワークにおける高効率な周波数資源割当手法として、周波数軸上に仮想的なグリッド境界を設け、オンデマンドで到着する光パス接続要求に対して、コネクション整列を行うことでフラグメンテーションを抑制する周波数割当方式の提案を行った。また、本方式を適用するためのスイッチアーキテクチャの検討を行い、必要とされるデバイスの制約条件を緩和することが可能なArchitecture on Demand型のスイッチアーキテクチャを提案し、棄却率を悪化させることなくデバイスにおける制約条件が緩和可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している。 平成24年度に主に取り組んだ内容に関しては、論文による報告が遅れているものの、今年度の研究成果の一部はすでに学術論文誌に投稿中であり、残りの部分に関しても国際会議等での発表に向けて順調に準備が進んでいる。空間多重型エラスティック光パスネットワークにおけるスイッチアーキテクチャの検討も異なるトラヒックデマンドなどの様々な条件下での評価を詳細に行っている段階にあり、全体として順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果の学術論文誌等への報告を継続して行うとともに、本研究のまとめにとりかかる。まずは、デジタルコヒーレントを用いて多様な多値信号を収容するエラスティック光パスネットワークの周波数割当手法に関して、これまでに得られた成果を用いてマルチドメインあるいは階層化された大規模ネットワークでの評価を行う。シグナリングによる処理遅延の影響なども検討し、超大容量通信を実現するための光ネットワーク制御に関する提案方式を確定する。そして、End-to-EndでQoSを完全に保証する全光通信サービスについて総合的に評価し、提案方式の最終動作確認とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
論文誌での研究成果の公表が予定より遅れたため、本年度は別刷り代が不要となった。 論文誌での研究成果を公表する際の別刷り代に充てる。
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