ユビキタスコンピューティング技術の発展により,スマートホームやスマートオフィスなど環境にセンサデバイスを配置し,人の行動パターンに応じて機器を制御する空間が登場しており,環境内の人物の動作や生活パターンの認識技術の重要性が高まっている.本研究では,安価かつ小型な赤外線人感センサを用いた住宅内人物移動検出手法を提案し,人の行動パターンに応じた効率的な機器の制御および老人の異常行動を検出して住宅を管理する機能を提供するシステムの構築を目的とする.従来までのカメラによる画像を用いず,また住人は一切の機器を身に付ける必要が無いため,本システムがユーザに与える心理的・肉体的負担は小さい.
平成26年度は,移動情報から構成されるデータベースの構築および移動予測アルゴリズムの実装を行った.具体的には,データ収集環境を整え,蓄積したデータのマイニングによる生活パターンの抽出を行い,過去の生活パターン,直近の移動状況,現在時刻から近い将来の行動予測を行う機構を構築した.予測された情報は機器制御に用いられる.データのマイニングには大量の生活データが必要であるため,実際の生活に沿ったデータを採取するための実験を行った.収集されたデータを用いて生活パターンの抽出性能および行動予測性能を確認し,システムの改良を行った.
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