研究課題
昨年度は,統計力学に基づいてミクロな挙動とマクロな挙動の相互作用を記述する数学的モデルを用いて,階層型の実ネットワーク制御(データーセンターネットワークにおける仮想資源配置制御)の設計と基本的な評価を行なった.この実ネットワーク制御においては各仮想資源が自発的に環境変動に適応できる.また,基本的な評価によって,トラヒック変動下で狙い通りの制御ができることを示していた.平成26年度は,まず,昨年度の研究を更に発展させ,よりシビアな環境変動(ノード数の変動)が発生する場合の有効性評価を行なった.その結果,提案する仮想資源配置制御に対して制御パラメータを適応的に再設定することで,シビアな環境変動下でも狙い通りの動作が可能となることを明らかにした.次に,他の制御方式(集中制御を用いた仮想資源配置)との性能比較を行ない,他の制御方式と比べた際の特徴の違いを明らかにした.また,本研究で構築してきた階層型の数学的モデルの考え方を応用して,マイクログリッドにおける電力融通制御の設計や,インターネットにおける口コミ(SNSなど)とマスコミ(ニュースサイトや,テレビなど)の階層的な相互作用の分析を行なえないかの検討を行なった.まず,マイクログリッドにおける電力融通制御の設計においては,個々の発電・消費施設の電力融通がミクロな挙動を表し,マイクログリッド全体での需給バランスがマクロな挙動に対応する.また,口コミとマスコミの階層的な相互作用の分析においては,口コミがインターネット内での個人のミクロな挙動を表し,マスコミや形成される世論がマクロな挙動を表す.このようなマイクログリッドにおける電力融通制御の設計や,口コミ・マスコミの階層的な相互作用の分析を通じて,数学的モデルの幅広い応用可能性を示した.
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IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: E98-A ページ: 未定
http://exmgaity.sd.tmu.ac.jp/~sakumoto/publication.html