研究課題/領域番号 |
24700079
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
野口 拓 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (00388133)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アドホックネットワーク / マルチキャスト / ネットワークコーディング / ネットワーク符号化 / セキュリティ |
研究概要 |
無線マルチホップネットワークにおいて,同一情報を多くの受信者に確実に配信する場合,通信手段としてはマルチキャスト通信が適している.無線マルチホップネットワークでは,無線の不安定性および同報性のため,本質的に信頼性,安全性が保証されないため,無線マルチホップネットワークに適した効率の良い高信頼・高安全多地点同時配信技術が必要となる.本研究では,ネットワーク内符号化技術であるネットワーク符号の時空間冗長性および秘匿性を利用することで,無線マルチホップマルチキャスト通信の高信頼化・高安全化を目指す.本年度は,ネットワーク符号化に適したマルチキャスト経路制御プロトコルの開発を行い,具体的には,以下の結果を得た. 1、複数ユニキャスト経路を並列利用するマルチキャスト経路制御プロトコルの提案 マルチキャスト通信においてネットワーク符号化の符号化効率を高めるためには,送信者-受信者間経路として互いに素となる複数配信経路を設定する必要がある.従来のマルチキャスト経路制御に用いられる最短(最小)経路木アルゴリズムでは,この条件を十分にクリアできない.そこで本研究では,マルチキャスト配信経路設定アルゴリズムとして,従来はユニキャスト通信に用いられてきた経路制御法を用いて複数配信経路を設定する経路アルゴリズムを提案した. 2、1で提案した配信経路制御の性能評価 本配信経路制御法の有効性を明らかにするため,計算機シミュレーションを用いて,無線マルチホップネットワークにおける既存の多地点同時配信方式との性能比較を行った.提案アルゴリズムは,ユニキャスト経路を組み合わせることでマルチキャスト複数配信経路を形成するため,従来手法と比較して,ネットワーク符号化機会が増加し,その結果,パケット到達率を低下させることなくネットワーク帯域を30%以上削減できることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究内容は,その大部分が研究代表者がこれまで蓄積してきた研究成果の発展・応用という側面を持つ.そのため,手法提案および方法論確立部分に必要となる期間を予測しやすく,概ね研究計画通りに研究を遂行することができた.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画では,ネットワーク符号を用いた無線マルチホップマルチキャストに必要となる要素技術の提案・評価をすべて終えてから,スマートフォン等への実装実験を行い,システムの最適化を行う予定であった.しかし,ここ1年の急激なスマートフォンおよび開発環境の進化をふまえ,今後は,要素技術の性能評価の一部としてスマートフォンの実装実験を加え,実用性を強く意識した研究開発を行っていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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