カメラやセンサ,ログ情報などのように,時間の経過とともに絶えず変化するストリームデータが増加している.ストリームデータに対するデータ処理技術が注目されるようになっており,遅延の少ない処理方式はその中でも重要な研究課題である.本研究の目的はデータ処理の遅延を減らすために,複数のCPU コアを用いて同一データに対する複数演算を並列評価する処理方式を実現することである.
本年度は,従来の問合せ最適化方式では対応が困難な,情報源を動的選択するデータ処理での遅延削減方式について成果取りまとめを行った.本来の研究計画では,昨年度が研究の最終年度となる予定であったが,プロトタイプシステムの開発過程において,従来のデータ処理よりも高い柔軟性を持った実現方式を発見した.具体的には,システム内部のデータ構造をRDFベースのグラフデータで表現できるようにし,問合せプランの動的更新をグラフ操作の一種として実現できるようにした.この方式に切り替えるために設計の見直しと開発期間の延長を行ったことで,昨年度中には評価や成果発表を完了することができなかったため,研究期間の延長が必要となった.
本年度は,延長申請通り,プロトタイプシステムに関する成果取りまとめを行い,データストリーム処理に関する国際ワークショップで発表を行うことができた.また,昨年度末時点のプロトタイプシステムは,グラフデータ管理に外部のライブラリを使用していたが,本年度はその部分も独自開発により置き換えたため,グラフ操作を提案システム内だけで完結させられるようになり,処理の軽量化を実現した.
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