研究課題/領域番号 |
24700088
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
渡辺 知恵美 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 講師 (20362832)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | プライバシ保護 / データベース / データ公開 / データマイニング |
研究概要 |
本年度はソーシャルネットワークデータのデータ公開における匿名化手法について、特に各利用者のプロファイルと利用者間の関係を利用した手法を提案し検証した。従来のソーシャルネットワークデータでは利用者間の関係のみを対象とし、グラフ匿名化手法を応用したものや、プロファイルデータのみを対象とし、マイクロデータの匿名化手法を応用したものが主流であったが、我々の手法はそれらを組み合わせたものである。グラフ構造に着目した匿名化手法の一つであるk-Automorphismに対し、k-Anonymityを適用した利用者のプロフィールデータをラベルとするラベル付きグラフをk-匿名化できるよう拡張したアルゴリズムを提案した。また既存研究に対して追加すべきノイズデータを最小化するアルゴリズムを提案し、それによって匿名化データを用いた分析の精度が従来手法と比較して高くなることを実験にて示した。これは研究計画における研究項目1であるノードおよびノード間の意味論を利用したソーシャルネットワーク匿名化にあたる部分である。 また、本提案手法に基づき、データ匿名化ツールの開発を進めている(研究項目3)。現段階では提案システムを検証できる程度のプロトタイプが完成しており、今後公開するために処理時間の改良および実行手順の簡略化を行う予定である。研究項目2に関してはソーシャルネットワークにおけるノード間の意味論と制約条件に関するサーベイをまとめ、提案手法に対して適用するための拡張手法について検討している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ソーシャルネットワークデータの利用者データを考慮した匿名化手法を提案し基礎的な検証まで進めているが、実績として国際会議への採択までに至っていない。次年度に、これまで多くの方からいただいたフィードバックを踏まえて本提案手法に関する成果を国際会議及び論文誌にて公開する。また現時点では利用者データ間の関係に関する意味論を踏まえるところまで提案手法が至っていないため、研究項目2の進捗が研究立案時と比べて遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
まず提案手法に対する十分な検証が必要である。複数の実データおよびマイニング手法を適用し匿名化データがデータ分析に対して十分な精度が得られること示す必要がある。それを踏まえて本研究の成果を国際学会および論文誌に投稿し、よりブラッシュアップしていく。また、利用者データ間の関係に対する意味論を考慮するよう提案手法を改良し,ソーシャルネットワークにおける関係のパターンおよび制約をデータベースとして充実させる。それをもとに匿名化ツールおよび匿名化データ分析環境を完成させ、公開する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本プロジェクトでは実装および実験環境としてクラウド上のサーバを利用している。 実データを用いてより大規模な実験を行うために仮想マシンを初年度と比較して高スペック なものに変更する。次年度研究費はそのために利用する。
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