[最終年度に実施した研究の成果] 前年度に開発した調味料使用量計測装置を用い,一般家庭での日々の食事において使用される調味料使用量を実際に計測・記録・蓄積した.また,蓄積したデータを対象とした情報推薦処理について考究し,調味料使用量データを味付け方式として推薦・提示する手法を開発した. 当初の計画では調理者自身によるデータ検索を実現する予定であったが,調理という複雑なタスクを行っている最中の人間には情報検索を行うだけの認知的余裕がないことも多いことが分かったため,計画を変更し,システムが自動的にデータを推薦・提示する方式を採用することとした.ただしこの際,調理者の嗜好から著しく外れたデータを推薦してしまうと有用な味付け支援システムとはならないことから,各調理者の嗜好を自動的に推定・抽出する処理を考案することとし,実際に実現した. [研究期間全体を通じて実施した研究の成果] 本研究は2年計画であり,1年目に調味料使用量の計測装置を開発し,2年目に計測・記録したデータを提示することによる味付け支援システムを開発する予定であった.1年目には予定通り計測装置を開発した.2年目には,上記の通り,計測データを味付け方式として推薦・提示する手法を実現した.このことから,当初の目的はある程度まで達成できたと言える.しかし,2年目に実現した手法を物理的な装置に組み込むまでには至らなかった.当初の計画通りに進まなかったのはこの点のみであるが,大きな反省点であると考える. ただし,実現した調味料使用量データ推薦手法を実際の装置に組み込むために必要な機器は調達済みであり,今後その実現に向けてさらに研究を進める予定である.
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