平成25年度における研究目的は,「群衆」に提示する広告コンテンツの最適化であった.そこで上記の研究目的を達成するため,3つの要素技術に関する検討を行った. 1つ目は,ユーザの位置および状態を計測し,個々のユーザを分離抽出する手法に関する検討である.距離画像センサにより得られた距離画像から,たとえ近接していてもユーザを個別に分離抽出し,ユーザの位置を決定するための手法について検討を行い,入退室管理アプリケーションを構築した.2つ目は,大型ディスプレイにおけるコンテンツの内容に関する検討である.距離画像センサやカメラを用いてユーザの位置や状態を計測し,ユーザに最も適したコンテンツを提示するための検討を行い,得られた成果をもとにプロジェクタを用いた作業手順提示アプリケーションや,プレゼンテーション支援アプリケーションを構築した.3つ目は,群衆からのコンテンツの見やすさを評価するための指標に関する検討である.距離画像センサとカメラを用いて環境の光学的および幾何学的特徴を取得し,ユーザから最も見やすい位置にコンテンツを提示する手法を提案した.また,プロジェクタを用いて,ユーザから最も見やすい位置にコンテンツを提示するアプリケーションを構築し,見やすさを定量的に評価した. 今後の展望として,これらの要素技術を統合し,大型ディスプレイにおけるコンテンツ提示をさらに向上させるシステムの構築を目指している.
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