大規模災害時でも継続して地質情報を配信・共有することを目的に,ボーリングデータを対象とした分散管理型のWeb-GISシステムを開発した.最終年度は,前年度までの研究成果をまとめ,ボーリングデータの分散管理機能とWeb-GISによる統合検索・統合表示機能の最終確認を行い,データベースおよび検索・表示機能の改良を行った上で,システムを完成させた.また,1400本のボーリングデータをシステムに登録し,動作確認を行った.本研究成果を国内外の学会で発表した. 本システムでは,データベースのレプリカ(複製)を作成することによる分散化と,設定したルールにしたがってデータを複数のデータベースに分割登録することによる分散化を実現した.これにより,ひとつのデータベースが機能を停止しても,ボーリングデータを継続して配信できる.ユーザは,データが分散管理されていることを意識することなくシステムを利用し,分散管理されているすべてのボーリングデータを一枚の地図上で閲覧できる.また,本システムのWeb-GISクライアントは,空間情報の処理と交換に関する標準を開発しているOGC(Open Geospatial Consortium)の標準に対応していることから,他のサーバから配信されている空間情報と容易に連携できる.本システムに使用したソフトウェアはすべてフリーオープンソースソフトウェアであることから,ボーリングデータ以外の地質情報のために容易に機能拡張や改良を行える.
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