研究課題/領域番号 |
24700098
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
北山 大輔 工学院大学, 情報工学部, 助教 (40589975)
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キーワード | ユーザ意図分析 / 情報推薦 / 地理情報検索 / オンライン地図 |
研究概要 |
25年度においては,実空間行動として,ナビゲーションシステムや電子チラシを用いたユーザの空間移動の分析に取り組んだ,また,ユーザに提示するフィードバック情報として,ある地点に関する地理的な情報要求を他の地点に対して適応する手法や,曖昧な要求に対してナビゲーションするためのフィードバック情報の提示手法に取り組んだ.具体的な成果を以下にまとめる. (A)ユーザの行動履歴と周辺コンテンツに基づく地理情報の推薦 カーナビゲーションシステムや歩行者ナビゲーションシステムによる実際のユーザの空間行動を用いて,ユーザの滞在時間と,その地点における標準的な滞在時間の差異から,他の地点での滞在時間を個人化し,パーソナライズしたルートを推薦する手法の開発に取り組んだ.また,ユーザの実空間行動を分析することで,地点やコンテンツに対する興味をモデル化し,また,コンテンツ自体が持つ重要さを加味することで,ユーザの興味のみならずその地点のコンテンツとして見ておくべきコンテンツを同時に提示するインタフェースを開発した.その中で,ユーザ行動に基づく滞在意図の抽出ならびにその滞在意図を用いて地点の推薦を行う手法についての知見を得た. (B)コンテンツ閲覧者行動分析に基づくフィードバック情報の提示手法 Web検索や地図検索といったユーザのコンテンツ閲覧行動を分析し,他の地理オブジェクトに対しても同等の閲覧行動を適応した場合に得られるコンテンツを自動的に抽出する手法の開発に取り組んだ.また,曖昧な検索要求に対し,次に行う行動によって得られる情報を集約し,提示することで結果を予見させるインタフェースを開発した.その中で,閲覧行動のメタデータ化に関する知見を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は,空間情報コンテンツである写真共有サイトにおけるコンテンツのクオリティ向上を目指し,ユーザ側の学習,コンテンツのリッチ化を目指すものである.平成25年度は,サブテーマ(A)において,単一のオブジェクトに対する撮影データに対し,撮影者の特徴モデル,位置・時間の推薦アルゴリズムを構築する予定であったが,実空間移動の分析に基づく位置の推薦アルゴリズムを構築するにとどまっている.また,サブテーマ(B)において,写真共有サイト特有の閲覧行動を用いてユーザ意図を抽出する予定であったが,一般的なWeb検索や地図検索サイトに対する閲覧行動に基づくユーザ意図抽出にとどまっている. なお,本研究課題において,国内論文誌1本,国際会議3本,国内研究会12本の成果をあげている.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた一般的な実空間・Web空間におけるユーザ行動分析の知見を用いて,写真共有サイトを対象に,ユーザの意図抽出を行う.進捗の遅れに伴い,評価期間や被験者数の縮退を行う. (A)ユーザの撮影履歴と他ユーザの撮影コンテンツに基づく撮影場所・時間の推薦.(B)によって得られる閲覧者からの評価情報を撮影履歴のメタデータとして加える,評価の高い写真を撮影できる可能性がある場所・時間の推薦手法を開発する.さらに,Exifの絞り(F値)や色情報を加えることで,適切なセッティングの推薦も行う.開発した手法に基づき,モバイル端末上で動作するプロトタイプシステムを構築し,実際の撮影および推薦の評価実験を行う. (B)写真共有時における閲覧者行動分析に基づくフィードバック情報の提示手法.モバイル端末上に写真共有サイトビューアを実装し,ユーザの閲覧行動をサーバ上に記録することが可能なシステムを構築する.得られたデータに対して開発した手法を用いて,実際の閲覧行動に基づく部分的な評価情報を撮影者に提示する.構築したシステムを用いて,被験者がビューアを使用し,実際の閲覧行動に対し提案手法を評価する. (C) 写真共有サイトにおけるユーザ行動に基づく撮影者に対する協調的アシストシステム.最終年度では,(A)と(B)を統合したシステムをモバイルアプリケーションとして開発する.このアプリケーションにより得られたユーザの利用ログを用いて,(A)および(B)の評価,さらに両手法を相補的に用いることによる撮影者の生成するコンテンツの質の向上について評価する.
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次年度の研究費の使用計画 |
投稿を予定していた英語論文に関して,完成度を高めるために次年度の会議への投稿へ計画を変更したため.そのために用意していた予算を次年度に繰り越した. 国際シンポジウム:2nd International Symposium on Applied Computing & Information Technology (ACIT 2014) 投稿のための英文校閲費として使用することを計画している.
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