研究課題
最終年度では,昨年度実施したマンガの登場人物の自動検出処理とその識別処理に関する基礎検討を発展させ,マンガ画像に対する特定登場人物の検出処理の実現を試みた.瞳,顔,人物についてそれぞれ識別機を生成し,これを組み合わせることにより,実際のマンガ画像から特定登場人物の検出が可能となることを確認した.本処理ではHOG特徴量をSVMにより学習させることにより得られる検出器を使用している.また,マンガは多数の線によって描かれる画像であることから,HBOP特徴量を用いて解析処理を行った.HBOP特徴量は2値細線の特徴を得るために検討を行った画像特徴量である.マンガの登場人物解析において,2値細線化を行った画像に対するHBOP特徴量を用いた解析精度とグレースケール画像に対するHOG特徴量を用いた解析精度の比較実験を実施した.本実験において,HBOP特徴量ではHOG特徴量よりTrue Negativeが0.55低下するものの,True Positiveが0.44高い結果が得られた.この,True Positiveの向上は他の識別処理とのカスケード化を実施する場合に有効であり,この点でHBOP特徴量が有効である.マンガからのキャラクター抽出技術については,実際に,未知画像から指定した人物の顔検出が可能であることが確認されたことから,一定の成果が得られたと判断される.現時点で得られている成果によりマンガのメタデータ付与において,人間のオペレーション量を削減することが可能である.一方で,キャラクター抽出処理の完全自動化を行うためには,識別精度,表情変化等による同一人物に対する複数クラスタ分類に関して検討の余地がある.実験用マンガデータの作成と配信については,今後の運用における著作権上の検討事項が残っており配信用Webサイトの公開には至っていない.現在,公開に向けた作業を継続中である.
すべて 2013 その他
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画像電子学会論文誌
巻: Vol42, No.4 ページ: 457-465