近年、国内外において人文科学分野へのコンピュータ技術の応用として、有形あるいは無形の歴史・文化情報資源をデジタル化、保存・流通することを可能にするデジタルアーカイブの研究が注目を集めている。本研究の長期的な目標は、膨大な数の浮世絵コレクションをデジタル技術によって保存・流通し、継承するとともに、最新の情報処理技術によるさまざまな解析を行うことにより、浮世絵研究支援システム構築しようとすることである。本研究では、浮世絵の画像解析の研究を行った上で、コンピュータで自動的に浮世絵を分類し、検索するシステムを開発することを目的とする。 平成25年度は、浮世絵の画像を対象とし、色情報を用いて自動的に落款の種類を判別し、適した処理を行うことを通して、落款文字列を自動的に抽出・ニ値化する方法を開発した。そして、立命館大学アート・リサーチセンター浮世絵データベースでの12人絵師の作品、計400枚を対象とし、提案手法を用いて落款を自動的に抽出・分析することにより、実験用の落款データベースを構築した。さらに、加重方向指数ヒストグラム(HOG)、自己相関関数などの特徴量を用い、落款情報を利用した浮世絵検索システムを実装した。また、立体視浮世絵閲覧システムとの融合を検討した。
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