最終年度では、(1)QZSS信号対応の低コストGNSS用デコードプログラムを開発(2)グリッド環境や負荷分散機能をプライベートクラウド上に実装(3)精度実験、以上の項目について研究・開発を進めた。 (1)では、NVS社製の低コストGNSS機器でQZSSデータを受信し、オープンソース測位エンジンgoGPSで測位処理に利用できるようMATLABとJavaの両バージョン用デコードプログラムを開発した。これにより、goGPSで直接NVS社製GNSSを利用できるようになった。(3)の精度実験で、このデコードプログラムにより受信したデータの確認を行い、正常に動作することを確認した。また、QZSSデータを、GPSやGLONASSデータ等と同一のファイルで扱えるよう、RINEX(受信機に依存しないデータフォーマット)バージョン3に対応する改良を行った。 (2)では、開発環境を迅速、柔軟に整えるため、そして、大規模アクセス時にも対応できる環境を構築するため、OpenStackの最新バージョン(Havana)を使用しプライベートクラウドを構築した。また、プライベートクラウド上に構築したグリッド環境(GridEngine)と、負荷分散機能(OpenStack LBaaS)で、goGPSの測位処理Webサービスの動作確認を行い、クライアントからのWebリクエストから実行される測位処理を、効率的に負荷分散されることを確認した。(3)精度実験では、本学の共通研究棟屋上と、レンタカーを使用して屋外で数回にわたりデータ収集を行った。 今後の研究の展開については、goGPS Java版の開発を進め、操作性を向上させるためにGUIやWebUIの整備を行う。機能面では、マルチコンステレーション(GPS、GLONASS、Galileo、QZSS)へ対応についての開発を進める(MATLAB版では対応済)。
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