平成26年度前半は、前年度を行ったヒューマンエラーに対する認知的揺らぎの神経基盤に関するfMRI実験に関して解析を行い、統計的有意性を確保するための被験者数の増加が必要になった事から、26年度後半にかけて追加のfMRI実験を実施した。その結果、前頭葉内側面の前方に自らの行動のエラーを認識し、かつ同一のエラーを繰り返さないよう集中のし直しが出来た際に特異的に活動が増強する領域がある事が示された。従って、エラーに対処しようとする時の揺らぎを示す認知活動が前頭葉の脳活動から抽出可能である事の基礎的な知見を得た。また行動データと比較する事により、監視作業の様な、継続した注意処理を要求する形態の作業については、適度な情報フィードバックを返す事で脳活動の揺らぎの状態を改善させる事が可能である事の基礎的な知見を得た。この成果については平成27年6月の国際学会で発表予定であり、また学術論文として成果公表する予定である。 また、同一課題を用いてNIRS脳機能計測実験を実施したところ、計測領野の差および被験者内変動の影響からfMRI実験結果との間に差異があったものの、被験者によってはエラーに対処しようとするゆらぎを反映したと考えられる活動変化が観察された事から、本成果よりNIRS信号の変動に基づきゆらぎを検知する信号処理手法を開発する上での、基礎的な知見を得たと述べる事が出来る。
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